STDになりやすい人となりにくい人の違い

ではSTDの場合は、セックスの経験回数が多いほどリスクが高まるのでしょうか。まず結論から言うと、セックスの回数が多いからと言って、必ずしもSTDにかかるリスクが高まるというわけではありません。

STDは、セックスを介してうつる病気の総称で、クラミジア感染症、梅毒、淋(りん)病、性器ヘルペス、尖圭コンジローム、HIV感染症(エイズ)などの種類があります。病原体を持っている相手とセックスやオーラルセックスなどの性的接触を持つことで、感染・発症します。そのため、不特定多数の相手とセックスしている人は感染のリスクが高まります。一方、病原体を持たない人同士が毎回同じ相手とだけセックスする場合は、回数に関わらず感染のリスクはありません。

STDはコンドームで予防を

STDは、コンドームを使用することで、ある程度は感染を予防することができます。たとえ不特定多数の相手とセックスしていても、オーラルセックスのときも含め、毎回必ず正しい方法でコンドームを装着していれば、STDに感染する可能性は低いでしょう。逆にたった1回でも、病原体を持つ相手とコンドームをつけずにセックスすれば、感染する可能性は十分にあります。つまり、STDになりやすいのは「不特定多数の相手と無防備なセックスをする回数が多い人」であって、回数が多いだけでSTDになりやすいとは言えないのです。

若者が10代から自由に恋愛やセックスを楽しむ現代社会では、HPVやクラミジアなどのセックスでうつるウイルスに感染することは、決して珍しいことではありません。自分自身の男性経験が少なくても、パートナーが不特定多数の相手とセックスすれば、途端に感染リスクは高まります。「自分には関係ない」なんて思わず、避妊やSTD予防、子宮頸がん検診などのリスク対策を心がけましょう。

※画像は本文と関係ありません

記事監修: 善方裕美 医師

日本産婦人科学会専門医、日本女性医学会専門医
1993年高知医科大学を卒業。神奈川県横浜市港北区小机にて「よしかた産婦人科・副院長」を務める。また、横浜市立大学産婦人科にて、女性健康外来、成人病予防外来も担当。自身も3人の子どもを持つ現役のワーキング・ママでもある。

主な著書・監修書籍
『マタニティ&ベビーピラティス―ママになってもエクササイズ!(小学館)』
『だって更年期なんだもーん―なんだ、そうだったの?この不調(主婦の友社)』
『0~6歳 はじめての女の子の育児(ナツメ社)』など