親が高齢者向け住宅の入居を検討し始めたり、高齢になってからの自分自身の住まいをどうするか考えていたり、高齢者向けの住まいに関心が集まっています。

いざ検討しようと思っても、高齢者のための施設や住宅ってどんなものがあるのかあまり詳しく知らないという人がほとんどでしょう。高齢になってからの施設や住居はどんな選択肢があるのか、早めにチェックしておくと安心です。

高齢になってからの施設や住居はどんな選択肢があるのかチェックしておくと安心

高齢になったときに入れる施設や住居にはどんなものがある?

高齢になると健康面での不安はもとより、介護が必要になったらどうしよう? 寝たきりになって頼れる家族もいなくなったら生活はどうなるのか、といった様々な不安がよぎります。親がもしかしたら介護が必要になって施設のお世話になるかもしれないという人もいるかもしれません。

いざとなったら高齢者向けの施設や住宅に入所しようと漠然と考えている人もいるでしょう。

特養、老人ホーム…など様々な施設がありますが、どんな違いがあるのか必要が迫られるまで知らなかったという話もよく聞きます。すぐに見つけなければならないわけではなくても、どんな施設でどのようなサービスが受けられるのかなどは知っておくことも必要です。

高齢者が入所できる施設や高齢者向けの住宅には、形態などによっていくつかのタイプがあります。

有料老人ホーム

1つ目が「有料老人ホーム」。主に民間企業が運営している高齢者向け施設で、おおむね65歳以上から入居でき、医療・介護や食事のサービスを受けながら生活できる施設です。健康な人が入居できる健康型、生活支援サービスがついた住居型、介護サービスがついた介護付など一口に有料老人ホームといっても受けられるサービスなどに違いがあります。また、居室も夫婦で入居できる居室があるホームも多くあります。

サービス付き高齢者向け住宅

2つ目は、高齢者の居住施設、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」です。居室の広さやバリアフリーが施されているかなど基準をクリアした住宅で、安否確認や生活相談サービスが受けられる高齢者向けの住居です。施設によっては医療や介護などの生活支援の様々なサービスを提供しているところもあります。

有料老人ホームと内容的に違いがわかりにくいですが、有料老人ホームは住まいや食事、介護などの様々なサービスを受ける権利をまとめて契約するのに対し、サービス付高齢者住宅は住居は賃貸契約し、そのほかの提供されるサービスは必要に応じてそれぞれ契約するという形になっています。   有料老人ホームは入居時にまとまった一時金がかかるのが普通ですが、サービス付き高齢者向け住宅は一時金はかかりません。費用的にはサービス付き高齢者向け住宅の方が負担が軽いですが、必要なサービスをあれこれオプションで付けると、毎月の負担がかなり重くなる可能性もあります。健康なうちは自由に生活しながら見守りなどの最低限のサービスを受けたいという人にはいいかもしれません。また状況の変化によって転居がしやすい点もメリットです。

特別養護老人ホーム

3つ目が、「特別養護老人ホーム(特養ホーム)」。要介護状態になったときには施設を利用したいと思っている人にとっては、特養ホームがもっとも費用がかからずに利用できる施設でしょう。特養ホームは介護老人保健施設の1つで、寝たきりや認知症などで常に介護が必要な人で家での介護が困難な人が入所の対象となっています。

特養ホームはどんな場合に入所できる? 費用は?

特養ホームの費用は、国が定めている要介護度や部屋のタイプなどによって違いますが、有料老人ホームなどに比べて料金はかなり低くなっているため、入所待ちが多く、介護の状況によってはなかなか入所できないケースもあります。

有料老人ホームでも介護付タイプのホームならあらかじめセットされたプランの内容に基づいて介護サービスが受けられます。有料老人ホームの住居型やサービス付き高齢者向け住宅では介護は個人のケアプランに基づいて外部サービスを利用する形となり、条件を満たせば介護保険も適用されるものの新たな費用負担が必要になります。

健康型のホームでは介護サービスが提供されない施設もあり、その場合は要介護状態になると契約が解除されることもあるので、契約内容に関して事前にしっかりチェックすることが必要です。

このように高齢になってから利用できる施設は様々なタイプがあり、サービス内容や費用も施設ごとに異なります。どんな生活スタイルで過ごすことを望むのか、何を優先させるのかといったことが選択の大きなポイントとなるので、日頃から夫婦や親子で選択基準を話し合っておくといいでしょう。


堀内玲子
ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。