文藝春秋はこのほど、文春新書の新刊『ルポ 老人地獄』を発売した。著者は朝日新聞経済部、価格は780円(税別)。

『ルポ 老人地獄』表紙(出典:文藝春秋Webサイト)

絶望に満ちた老人社会の実態をルポ

本書は、朝日新聞経済部取材班が老人社会の実態をルポした社会派ノンフィクション。近い将来3人に1人が高齢者となる日本では、老人をめぐる状況が急速に悪化している。全国各地に増加する「無届け老人ホーム」、北海道で増殖する「老人下宿」。男女混合で雑魚寝させる「お泊りデイ」施設では、不衛生な環境でノロウイルスが蔓延しても、料金が安いため入居を希望する家族は後を絶たないという。

一方、特別養護老人ホームを経営する社会福祉法人のなかには、ぼろ儲けで「老人食い」状態のブラック法人が出現。また、特定の施設にお金を落とすため老人に必要以上の料金を支払わせようとするケアマネージャーも多数いるという。未来に目を向けると、2025年以降は団塊世代が後期高齢者入りすることから、さらに悲惨な状況が予想される。本書は、このような厳しい現実を乗り越えるためのヒントを提示する。

内容は、「プロローグ 老人が報われぬ国」「第1章 下層化する老人たち」「第2章 カネなし家なし人出なし 八方ふさがりの老人介護」「第3章 『老人ビジネス』に群がる社会福祉法人」「第4章 医療・年金制度は崩壊している」「第5章 老後の沙汰はカネ次第、でいいのか?」など。