商工中金はこのほど、「2015・2016年度 経済見通し(3次改訂)」を発表した。それによると、2016年度の日本経済は中国など新興国経済の減速懸念を抱えるものの、内需中心の回復を辿ると予想している。
2016年度の実質GDPは1.4%増に下方修正
2015年度の実質GDPは前年度比1.0%増と予想し、前回(2015年9月、2次改訂)から変化はなかった。プラス要因として、好調な雇用環境や原油安に伴う物価水準の下落による個人消費の増加を挙げたほか、円安の継続や米国経済の拡大から輸出の増加基調が小幅ながらも維持され、国内の設備投資意欲が回復するとみている。
マイナス要因としては、中国など新興国経済の減速傾向が表面化しつつあるとし、「(日本の)輸出の下押しや設備投資意欲の減退、金融市場の同様に伴う消費マインドの悪化など潜在的なリスクがある」としている。
2016年度の実質GDPは同1.4%増とし、前回の同1.7%増から下方修正。同社は「個人消費が数字を下げている。背景として、夏場以降、新興国を中心に海外経済が弱くなっていることから、日本の輸出も伸び悩んでおり、その影響で国内生産自体が減っている状態だ。また、企業業績は好調だが、賃金はそれほど伸びていないという要因もある」と分析している。
2016年度の日本経済については、設備投資の増加など「内需中心の自律的回復経路を辿る」と予想。また、2017年度初めに予定されている消費税の再増税を前に、年度末にかけて駆け込み需要が生じるとみられ、「成長率は内需中心に拡大し、年度を通じて安定した景気回復となる」としている。
なお、今回の見通しは足元の動向(2015年12月14日までに得られた情報)に基づいたものとなる。