付録のつくりかた

毎月の付録については、まず5~6時間の会議を行い、編集部全員とデザイナーが100点以上の候補作を持ち寄り、その月ごとに方向性、スペックを決めていく。最初の議論は時間がかかるが、方向性が決まったあとは植田さんが簡単なラフを書いて見積りをとり、内容を詰めていくといったプロセスがとられているという。

植田さん「よく原宿の竹下通りをうろちょろしています。地方に出張にいったときも必ずショッピングセンターに行っていますね。知らない文房具はないと思います(笑)」

多くの付録は中国の工場で作られており、年に何回かは視察にもいっている植田さん、まるでメーカーのようだが、それだけ力を入れないと、読者にもすぐにばれてしまう。

スクールバッグやポーチ、かわいらしいペンなど、どれもつくりがしっかりしていて驚いてしまう。

大人なら、少しくらい縫製が甘くても「これは付録だから」ですませられるところだが、子供の読者は真剣にがっかりしてしまうのだ。ちゃんと見ているし、とても潔癖だ。逆に言えば、期待は大きく、付録によって部数も3~5万部程度変わっていく。昔で言えば「全サ(全員プレゼントサービス)」で500円の切手などを送って家に届くような品物がふろくとしてついてくるのだから驚きだ。

見せてもらったのは「スプレーペンセット」(2015年12月号)。見た目はふつうのペンであり、実際普通に使えるのに、スプレーツールをつけてポンプをプッシュするだけでエアブラシのようなカラーリングができる。クリスマスカードや年賀状などの需要を見込んだもので、ずっと見本になるような品を探し歩いていたところ、中国出張の際にやっと見つけることができたそうだ。ポンプ部分が人気キャラクター「ちぃちゃん」(『プリプリちぃちゃん!!』)になっており、見た目からしてまさに「かわいい!!」。

「スプレーペンセット」(2015年12月号)

スプレーペンは普通のペンとしても使える。ステンシル用のシートもついてきてテンションがあがる

ちなみに、ちゃお編集部に向いている人はやっぱり「かわいいもの」が好きな人なのだろうか?

植田さん「子供を本気で楽しませたい人、じゃないでしょうか。好きなものは、読者が決めることであって、編集部が決めるものではありませんから」

徹底的に読者に向き合った視線。これこそが、『ちゃお』がNo.1となっている理由なのかもしれない。