社会で活躍する女性が増え、また医療技術の進歩もあって、第1子出産時の母親の平均年齢は上昇傾向にあります。平成26年のデータでは30.6歳となり、30歳を突破しています。そんな中、35歳以上で出産をする高齢出産も普通のことになりつつあります。子どもを出産することは社会的にも家庭的にも喜ばしいことですが、高年齢での出産は「家計的」には対策も必要。家計の中の3大支出のうち、「教育費」と「老後資金」を準備する期間が重なることは無視できません。
35歳以上での第1子出産数は前年より増加
厚生労働省の統計「人口動態統計(平成26年)」で母親の年齢・出生順位別の出生数を見てみると、平成26年に母親が34歳以下で第1子をうんだ数は前年より減少。対して、母親が35歳以上で第1子を出産した数は前年よりも上回っています。
当たり前のことですが、時の流れは抑制することも調整することもできません。例えば38歳で出産したら、子どもが大学進学する時期に自分は56歳、子どもの大学卒業と定年が同時期ということに。子どもがさらなる進学を望むなら、自分のリタイア後も子どもはそのまま学生ということはありえる話です。
子ども1人当たりの平均教育費はざっくり1,000万円。中でも一度に大きな負担となるのが大学入学前後の費用。大学入学および4年間の在学にかかる費用だけでも国公立で511万円(日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査・平成26年度」参照)という状況です。
老後必要資金は生活スタイルや年金額にもよりますが、定年から公的年金支給開始までの無年金期間の生活資金は最低でも準備しておかなければなりません。60歳定年として65歳までに必要な額は、月額生活費が25万円なら1,500万円、30万円なら1,800万円です。つまり、出産後約20年の間に最低でも2,000万円以上の貯蓄が必要ということになるのです。
貯蓄を行うにあたり、まずは支出をチェックしてみましょう。一般的にDINKSは生活レベルも高めです。いったん身に付いたぜいたくを止めるのは努力を要することもありますが、子どもの出生後も同レベルの生活を続けると、思うような貯蓄はできません。特にDINKS時代に多い「教養娯楽費」「交際費」「外食費」などをできるだけカット。ベビー用品の買い物も高価すぎにならないよう、よく検討してください。
教育費も老後資金も共に絶対に必要な資金なのでハイリスク・ハイリターンはお勧めできませんが、コツコツ貯めるだけでは間に合いません。ローリスク型の投資信託など、少しは運用リスクを取りながら利殖することも必要でしょう。NISAなどの非課税制度をうまく利用するのもいいですね。子どもの教育資金は、来年から開始されるジュニアNISAで運用するのもひとつの方法です。
出産するまでキャリアを積んでいたなら、年収は決して少なくはないはず。子どもとの時間を大切にしたい気持ちもありますが、育児で仕事をセーブすることで収入ダウンとなるのはもったいないとしか言えません。子どもが学童期に入るまでの保育施設にお金がかかっても、将来の退職金や厚生年金のことを考えると、離職せずに働き続けることが最大の貯蓄と言えるでしょう。
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著者プロフィール
武田明日香
エフピーウーマン所属ファイナンシャル・プランナー
南山大学経済学部卒業後、大手印刷会社に入社。2010年に、法人営業の仕事をしながら自己啓発のためにファイナンシャルプランナーの資格を取得。「女性がライフステージで選択を迫られたときに、諦めではなく自ら選択できるための支援がしたい」という想いから、2013年にファイナンシャルプランナーに転身。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく!トラベル!」、「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「webR25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人生を送るための知識を伝えている。
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