あなたや周りの人は頭痛で悩んでいないだろうか。面倒な頭痛の代表例には片頭痛があるが、それ以外にも厄介な頭痛は多い。
本稿では、高島平中央総合病院の福島崇夫医師の解説をもとに、片頭痛以外にQOL(生活の質)を損なう頭痛「緊張型頭痛」の特徴について紹介する。
オフィスワーカーは要注意の緊張型頭痛
緊張型頭痛
「頭全体が重く、グーッと締め付けられるような痛み」が特徴。原因の一つに筋肉のこりがあり、長時間前かがみでパソコンとにらめっこをするデスクワーク族によく見られる。また、ストレス由来の緊張型頭痛もある。
ズキンズキンとした拍動性の痛みが特徴の片頭痛と緊張型頭痛が決定的に違う点は、生活面への支障だ。
「緊張型頭痛は、四六時中ずーっと頭が締め付けられるように痛いものの、片頭痛のように吐いたり横になったりするほどの痛みではありません。痛みはあるものの、普通に生活できます」。
対処法はストレッチやマッサージ、身体を加温する温熱療法などで、緊張をほぐすために心身をリラックスさせることが肝要となる。それでも痛みが気になるなら、消炎鎮痛剤や抗うつ薬などを用いることになる。ただ、最初から薬ありきではなく、まずは体と心を緊張から解きほぐすべく、生活環境を変えるようにしよう。
大人が泣き叫ぶ痛さの群発頭痛
次は「群発頭痛」。聞きなれない人も多いかもしれないが、その最大の特徴は想像を絶する痛みにあると言え、また誰がなってもおかしくない頭痛のためここで紹介しておこう。
群発頭痛
一年のある時期に「目の奥がえぐられるような激痛」が1~2カ月にわたってほぼ毎日起こり、じっとしていられないほどの頭痛にさいなまれる。その痛みたるや、大の大人が泣き叫ぶほどとも言われる。そして、比較的男性に多いとされている。発作時には目の結膜(白目の表面を覆っている粘膜)の充血や鼻汁、涙が出ることがある。
「群発頭痛への有効な薬はほとんどありません。片頭痛の治療に用いられる『トリプタン製剤』の一部が有効なくらいで、海外でカルシウム拮抗(きっこう)薬が予防薬として有効であるとの報告がありますが、それ以外に有効性が医学的に証明された予防薬もありません。メカニズムもわかっていないですし、患者も少ないため蓄積されたデータがないのが現状です」。
飲酒によって誘発されるため控えるべきだが、それ以外にトリガー(引き金)がわかっていない以上、ある日突然、群発頭痛が起こる可能性も決してゼロではない。突如発症しないことを祈るばかりだ。
頭痛外来などを設置している医療機関では、頭痛について詳しく記したパンフレットや、その日に使用した薬を記すための「頭痛ダイアリー」などを配布していることも多い。本当に頭痛に悩んでいるならば、痛みを軽減したりコントロールしたりするために、そういったアイテムを活用するのも一つの手と言えるだろう。
※写真と本文は関係ありません
記事監修: 福島崇夫(ふくしま たかお)
日本大学医学部・同大学院卒業、医学博士。日本脳神経外科学会専門医、日本癌治療学会認定医、日本脳卒中学会専門医、日本頭痛学会専門医、日本神経内視鏡学会技術認定医。大学卒業後、日本大学医学部附属板橋病院、社会保険横浜中央病院や厚生連相模原協同病院などに勤務。2014年より高島平中央総合病院の脳神経外科部長を務める。