――以前の前園さんは少し怖いというか近寄りがたいイメージでした。ところが、昨年からの『ワイドナショー』をきっかけにそのイメージが180度変わりました。

自分の中でも『ワイドナショー』の出演はとても大きな出来事でした。2年前のことはスポーツ番組などでは触れられないところでもあって、あの番組だからこそそこをあえて触れてくださった。そして、松本さんだからこそ……。

僕はそれで少し肩の荷が下りたというか。それまでは、周囲が気にしているのに誰も触れないという空気があって、それでも番組に出させてもらっているのが僕にとっては違和感でした。やっと触れてくれた……松本さんの言葉を聞いたときのにそう思いました。

あれで僕は助けていただいた。松本さん、そして『ワイドナショー』という番組は僕にとっては"恩人"のような存在です。

――人生の大きな分岐点となりましたね。

そうですね。その後もレギュラーで出させていただいたことがベースとなって、いろいろな番組に呼んでいただけるようになりました。

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――すっかりイジられキャラが定着しましたが、以前と比べて初対面の人の対応にも変化があったのではないでしょうか。

テレビでの僕の印象が変わったことによって、イジってくださることも増えました(笑)。子どもたちとか、今までは僕のことを知らなかっただろうなという年配の方々も名前を呼んで声を掛けていただけるようになって。みなさん、親しみを持って接してくださいます。道端でも「お酒まだやめてるんですか?」と言われることもありますし。サッカー教室の子どもにも言われますからね(笑)。

――子どもにまで(笑)。

ええ。「大丈夫? 飲んでないですよね?」って(笑)。そうやって、子どもにもイジられています。でも、それは僕にとってとてもうれしいことなんです。いろんな世代の人に気さくに接していただけて、とてもありがたいです。

――あのトラブル以前はもちろんなかったことですよね。

そうですね。今ほどバラエティも出ていなかったので、ある程度自分の中でも線引きをしていたのかもしれません。でも、復帰させてもらう時に「飾らず素の自分で行こう」と心に決めていました。それがまさかこのようになるとは思ってなかったですけど(笑)。

――子どもの頃から今のようなキャラクターだったんですか? サッカー選手になっても、友人関係やプライベートではイジられるとか。

古い付き合いの友人にとっては、僕の今のキャラクターはあまり違和感ないと思います。僕が先輩をイジりながら、後輩にイジられたり。そういう関係性は本当に近い人は知っていましたが、先ほどおっしゃったように昔の自分は近寄りがたいイメージを作っていたんだと思います。今の自分は素の自分でいろいろな人に接することができているので、そういう意味ではとても楽です。

――現役を引退されたのが今から10年前。当時の前園さんが知ったらビックリするでしょうね。

そうですね(笑)。引退した直後はサッカー中心になりましたが、テレビ出演など現役時代にやれなかったことはやりたいなとは何となく大きなイメージとして思っていました。人生って分からないもんですね(笑)。

――こうしてバラエティに呼ばれることが多くなって学んだこと、心掛けていることはありますか。

とにかく自分が素であること。そして、バラエティには本当に"面白い怪獣"の方々がたくさん出ていらっしゃいます。自分は決して面白い人ではないので、面白いことを自ら狙いに行ったらダメだと思います。自分から発信することではなくて、スタンスは常に受け身。そう心掛けています。

■プロフィール
前園真聖(まえぞの・まさきよ)
1973年10月29日生まれ。鹿児島県出身。1992年、鹿児島実業高校からJリーグ・横浜フリューゲルスに入団。U-21日本代表のキャプテンとして、1996年のアトランタオリンピック本大会ではブラジルを破る「マイアミの奇跡」を演出し、注目を集める存在に。その後は、ブラジルのサントスFC、ゴイアスEC、韓国の安養LGチータース、仁川ユナイテッドと渡り歩き2005年5月19日に現役引退を表明した。現在は自身のZONOサッカースクールを主催してサッカーの普及活動を行う傍ら、『ワイドナショー』出演を機にバラエティ番組出演などのタレント活動も増えている。