今年も残り3カ月。年間の貯蓄計画は順調でしょうか? お金が貯まらない、という人の最大の特徴は、ムリをして実力以上のお金を貯めようとするため、お金が足りなくなるとせっかくの貯蓄を取り崩してしまうことにあります。そんな人にオススメなのが、引き出しにくく、特典がある積立定期預金。どんなものがあるか、紹介しましょう。

給与振込口座とは違う銀行で積み立てる

貯蓄の王道ともいえる積立定期預金。一般的には給与振込に使っている金融機関で、自動的に積立するのが、便利だし、貯蓄忘れもなく、確実に定期預金でお金を貯めることができます。

しかし、そこに落とし穴があります。給与振込口座での積立定期だと、もしも普通預金口座の残高がゼロになると自動貸越で定期預金を担保にお金を引き出すことができます。当然、それは借金となり普通預金口座に赤字が印字されます。これを解消しない限り、借金分の利息が発生するわけです。

また、生活資金が足りなくなれば、定期預金を解約して、せっかくの貯蓄を取り崩すということも、よくある話です。給与振込口座だから便利ではあるものの、気軽に定期預金を引き出せてしまうのです。

そこで、なかなかお金が貯まらない、という人におススメなのは、いつもと違う銀行で積立預金をする、というものです。貯蓄する意思や能力はあるわけですから、貯蓄行動として入り口はOKなのです。出口をふさぐことで、お金の流出を防ぐことを考えましょう。

ネット銀行、普段使わない銀行に目を向ける

普段使いとは異なる銀行となると、ネット銀行が候補に挙がります。しかし残念ながら、現在のところ、自動積立定期ができるのはソニー銀行のみ。毎月1000円以上1000円単位で積み立てられ、ネットでの手続きも簡単。ただし、中途解約もネットでの申し込みになるので、取り崩しがちな人の防衛策にもなり ます。

ソニー銀行の積立定期預金

  • 積立金額 毎月1,000円以上、1,000円単位

  • 積立方法 ソニー銀行の円預金から指定した積立日に自動振替

  • 積立期間 定めなし。期間指定の場合は1年、2年、3年

このほか、イオンなどが近くにない人はイオン銀行もオススメ。普通は近くにイオン銀行があって、買い物ついでにお金を引き出せる利便性がウリですが、近くにイオンがなければ、気軽に引き出すことができません。イオン銀行の積立定期は、イオン銀行がある店舗でも口座開設できますが、ネットからの申し込み(インターネットバンキング)も可能。毎月5,000円以上1,000円単位で積み立てられます。イオン銀行の特典はWAONポイント。利用6カ月間のイオンカードなどの利用合計額に応じてステージが決まり、ステージに応じたWAONポイントが付与されます。積立定期も対象なので、お金を貯めながらWAONポイントでオトクに買い物をする、ということができるのです。

イオン銀行の積立定期預金

  • 積立金額 毎月5,000円以上1,000円単位

  • 積立方法 イオン銀行の普通預金から指定した積立日に自動振替

  • 積立期間 6カ月以上5年まで

地元の信金、JAの積立にも注目

もうひとつ、積立貯蓄でオススメなのが、地元の信用金庫、信用組合、農業協同組合のJAバンクです。地域に根差した金融機関で、その地域に居住している人が利用できます。信用組合、JAバンクは組合員になると組合ならでは特典もあります。また、マイカーローンなど一般銀行での融資よりも借りやすかったり、融通が利くのも地元の金融機関ならではの特徴です。

現在でも人気の高い「懸賞金付き定期預金」の元祖は、実は東京にある城南信用金庫。城南信金が取り扱いを開始して、地方銀行へも波及して、いまや懸賞金付き、宝くじ付きなどの特典付き定期預金は定番商品になっています。

信用金庫や信用組合、JAバンクは、一般の銀行の積立定期にあたる「定期積金」を取り扱っています。仕組み自体は銀行の積立定期とほぼ同じで、1,000円以上1,000円単位や100円単位など、小口での積み立てが可能で、普通預金からの自動振替ができますが、担当地区の職員が集金に来てくれるのも最大の特徴で、積立忘れをすることもなく、確実に貯められる方法といえるかもしれません。

JAバンクWebサイト画面

定期積金の場合、定期的に掛け金を払い込み、満期日に給付契約金を受け取るのが一般的で、掛け金の合計額と給付契約金の差が利息に相当します。定額式、目標式、逓増逓減式、満期分散式など、積み立て方法にバリエーションがあります。

最近では、JAバンクもこうした特典のついた定期積金を始めています。

JA岐阜信連が始めたのが、乳がん検診を無料で受けられるクーポン付き定期積金。給付契約額24万円以上で新規契約した場合、県内の指定病院でマンモグラフィーや超音波検査の検診が受けられるというもの(12月30日まで。先着2,000名)。このほかにも、各地の信金、信組、JAバンクで特徴のある積立商品がありますので、地元の金融機関をチェックしてみるといいでしょう。

<著者プロフィール>

伊藤加奈子

マネーエディター&ライター。法政大学卒。1987年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。不動産・住宅系雑誌の編集を経て、マネー誌『あるじゃん』副編集長、『あるじゃんMOOK』編集長を歴任。2003年独立後、ライフスタイル誌の創刊、マネー誌の編集アドバイザーとして活動。2013年沖縄移住を機にWEBメディアを中心にマネー記事の執筆活動をメインに行う。2級FP技能士。