女性なら一度は、デリケートゾーンにかゆみを感じたことがあるのではないだろうか。実は、女性のデリケートゾーンは1年を通してムレやすく、こまめなケアが必要な部位。かゆみは生理やおりものが原因で起きていることもあれば、性感染症のサインになっていることもあるので要注意だ。
今回は、デリケートゾーンのかゆみの原因と対策について、なおえビューティークリニック・院長の喜田直江医師にお聞きした。
デリケートゾーンのかゆみの原因
女性のデリケートゾーンの悩みといえば、かゆみや臭い、かぶれ、痛み、黒ずみなどさまざまなトラブルが該当する。では、かゆみにフォーカスすると何が原因として考えられるのだろうか。
喜田医師はかゆみの主な原因として、「生理中のムレ」と「性感染症」の2つをあげた。
原因1. 生理中のムレ
女性の場合、ショーツの上にストッキングやタイツを履くことも多く、1年を通してデリケートゾーンがムレやすい傾向にある。もともとムレやすい状況に生理が重なると、経血の付いた生理用ナプキンなどが原因となって、かゆみが起こることが多いという。
「経血の付いた生理用ナプキンを長時間そのままにすると、雑菌の温床になります。経血量が多いときは特に、生理用ナプキンをこまめに交換することが大切です。また、おりものの場合も、ショーツに付いたまま放置すると雑菌繁殖の原因になりますので、おりもの専用シートなどを使って清潔に保つように心がけましょう」。
さらに、生理用ナプキンの繊維やショーツの素材が原因で、かぶれからくるかゆみ、黒ずみが生じることもあるという。「肌への負担が少ない素材のショーツを選んで、ムレを感じたら交換できるとよいですね」。
このほか、アンダーヘアに雑菌がこもってしまい、かゆみや臭いの原因になることもあるため、できれば毛の処理もこまめにしたほうがよいとのこと。
原因2. 性感染症
かゆみのもう1つの原因としてあがったのは、性感染症だ。性感染症は主に性交渉(オーラルセックスを含む)によって感染する病気で、パートナーから感染することもあれば、逆にパートナーへうつしている可能性も高い。気になる症状がある場合は、パートナーも一緒に検査を受けてみるとよいだろう。
かゆみを伴う性感染症には、ケジラミ症、膣トリコモナス症、尖圭(せんけい)コンジローマなどがある。また、クラミジア感染症や淋菌(りんきん)感染症のように、かゆみを伴わず、下腹部痛やおりものの異常などが症状として出るものもあるので、あわせて注意が必要だ。
ほかに、膣カンジダ症はもともと体内にある菌ともいわれ、性交渉で感染する場合もあるが、疲労などで免役力が弱っているときや抗生物質を内服しているときに症状を引き起こすことも多いという。性交渉による感染リスクが低い人も視野に入れておいたほうがよいだろう。
上記であげた性感染症は、治療をすれば治る可能性も高い。「性感染症の中には、クラミジア感染症のように将来の不妊の原因になるものもあります。症状に気づいたらすぐに婦人科を受診しましょう。また、性感染症の予防にはコンドームが有効ですので、使用をお勧めします」。
膣の洗い方にもポイントがある
かゆみの対策としては、デリケートゾーンを清潔に保つことがあげられる。シャワーのときに専用のボディーソープで洗うことも対策の1つ。その際の注意点として、「膣の外側は清潔に保ったほうがよいのですが、膣の中まで洗いすぎるのはよくありません」と喜田医師。
「膣には本来、"自浄作用"があり、不要物をおりものとして外に排除したり、細菌の侵入を防いだりしています。膣の中まで洗ってしまうと、体にとって必要な自浄作用まで失われてしまう可能性があるので気をつけましょう。デリケートゾーンを洗うときは、専用のボディーソープで膣の外側を優しく洗うことがポイントです」。
一方で膣が緩んでいる人は、細菌などが膣の中にまで入ってしまう可能性もあるという。湯船やプールからあがったあとに膣から湯や水が出るような症状のある人は、膣の緩みに対応できる専門の婦人科で相談してみよう。
デリケートゾーンの悩みは人に話しづらい内容であるため、病院に行くことをためらうかもしれない。しかし、かゆみだけだからといって我慢している間に、重大な病気が進行していることもある。特に性感染症の場合は、将来の妊娠に影響が出るものもあることから、早めに婦人科を受診して原因を究明し、治療したほうがよいだろう。
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記事監修: 喜田直江(きだ・なおえ)
2001年に京都府立医科大学卒業後、産婦人科医として多数の分娩・手術症例を経験。2003年からは形成外科医として、形成外科の基本から縫合の技術まで幅広く習得。2006年より大手美容外科に勤務し、美容外科・美容皮膚科全般において経験を積んだ。特に婦人科系の美容手術は、日本でも有数の症例数を誇る。2011年10月、東京都・銀座でなおえビューティークリニックを開院。婦人科形成医療を通して多くの女性患者の悩みを解消し、"女性であることの幸せ"を提供し続けている。