旭化成ホームズの二世帯住宅研究所はこのほど、「息子夫婦同居・娘夫婦同居で異なる同居前不安と交流意識」についての調査結果を発表した。同調査は3月と6月、25歳以上の一般既婚者男女を対象として実施。1万9,884サンプルを得た。
二世帯同居、今も昔も不安は「嫁姑関係」
不安が最も多いのは、「息子夫婦同居の子世帯『妻』」となった。理由の1位は「嫁姑関係は何かと気遣い多い」(88%)で、嫁の立場への不安は今も昔も根強かった。全体的には、属性を問わず「生活上の相違・干渉・負担に対する不安」など以前からある親子同居に伴う不安が上位に上がり、相手にどれくらい合わせたらよいのかといったことが気になっている様子がうかがえた。
増える娘夫婦同居で「母」の不安は増大
「娘夫婦が同居」の家庭について見てみると、母の不安は「娘夫婦同居の母娘関係は遠慮がなくなる」(61%)といった母娘特有の不安や、「娘夫婦同居の夫は気遣いが多くなる」(62%)といった、いわゆるマスオさん(子世帯夫=お婿さん)への気遣いなど、心配は多岐にわたった。一方、マスオさんの不安の1位は「1人になれない」(64%)で、「娘夫婦同居の夫は気遣いが多くなる」というイメージについては、本人以上に妻や母の方が強く心配しているようだった。
同居前は「不安」が9割。しかし同居後は1割に
二世帯同居を阻害している心理的要因を把握するため、一般既婚男女を対象に「親・子世帯同居前に感じる不安」を調査したところ、9割以上の人が不安を感じており、特に息子夫婦同居の子世帯妻(嫁)の不安は99%、次いで娘夫婦同居の母は94%に達することがわかった。ただし、実際にヘーベルハウスで二世帯同居をしている方への調査を見てみると、「同居前に不安があり、同居後も不安が残っている」という回答は、息子夫婦同居でも1割程度だった。
世帯間の交流は「すべて別だが交流が盛ん」が多数
親・子世帯間の交流実態は、息子夫婦・娘夫婦同居ともに、生活が「すべて別だが交流が盛ん」が最も多いパターンだった。なお、世帯別にキッチンが2つあるいわゆる「二世帯住宅」において、毎日の食事は息子夫婦同居では83%、娘夫婦同居では67%が世帯別にしていたが、一緒に食事をすることもあるなど、食事スタイルはキッチン数にとらわれず多様化していた。
嫁が見られたくないのは、寝室・クローゼット・冷蔵庫
「息子夫婦同居」の嫁姑関係については、会えばよく話をして仲も良いが、母娘関係のように言いたいことを我慢せず言っているわけではないということがわかった。「同居の母に見られたくない部屋・設備がある」割合は、息子夫婦同居では娘夫婦同居の約3倍であり、それに対して、母の多くは「子世帯の部屋・設備で見ないようにしているところがある」と回答した。
息子夫婦同居は「交流上手型」、娘夫婦同居は「自立×シェア型」
イマドキの息子夫婦・娘夫婦同居の嫁姑・母娘関係に焦点を当て「交流レベル」×「気兼ねレベル」で細かくタイプ分けしたところ、「息子夫婦同居」では、交流しながらもバランスよくプライバシーを保つ、いわゆる「交流上手型」が49%で主流だった。また、「娘夫婦同居」では、自立意識をもって、心と生活の距離を分離し、張り切りすぎない協力関係を築く「自立×シェア型」が47%で多数派となった。