ゴールを決めるたびに、好きなフィギュアを一つプレゼント――。

そんなユニークなスポンサー契約が、サッカーファンやアニメファンの間で話題になっている。フィギュアメーカーのコトブキヤと、東京ヴェルディのキャプテン・井林章選手が交わした、世にも珍しい「フィギュアパートナー契約」だ。ちなみに東京ヴェルディとの契約ではなく、井林選手との個人契約である。それにしても、ゴールを決めるたびに報酬がもらえるのはわかるとして、なぜそれがフィギュアなのか?

東京ヴェルディ・井林章選手

ファンにはよく知られた話だが、実は井林選手、サッカー界きってのアニメ好きなのである。それも、キャラ付けとか、イメージ戦略とか、そういう"まがい物"ではない。正真正銘、ホンモノのアニオタなのだ。

そんな井林選手の活躍の影響かどうかは定かではないが、最近ではサッカーとアニメによる異色のコラボ企画が次々に立ち上がり始めた。例えば、東京ヴェルディ、FC岐阜、水戸ホーリーホックの3チームがそれぞれアニメ作品とコラボして試合を行う「アニ×サカ!!」。

従来のサッカーファンだけでなく、多くのアニメファンを動員し、コラボグッズの物販や声優イベントなども開催した。先日、行われた水戸ホーリーホックとの試合では、井林選手もゴールを挙げ、チームの勝利に貢献。同時にフィギュアパートナー契約から2体目となるフィギュア獲得の権利を得た。井林選手はいったい、どんな道を歩んでアニメ好きになったのか。「サッカーとアニメ」というテーマでインタビューを試みた。

きっかけは姉の影響で『コードギアス 反逆のルルーシュ』を見たこと

――井林選手がアニメ好きとして知られるきっかけになったのは、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』本紙の一言紹介欄に「アニメ『フォトカノ』の最終回に一言言いたい!」というコメントが載ったことだったと記憶しています。

そうでしたね。あの時、記者の方と話していて、なぜかたまたまアニメの話になったんですよ。それで、当時やっていたアニメの話をしたら、それがそのまま記事になってしまったんです。

――サッカーの話題から、"たまたま"アニメの話に……?

う、うーん。どういう経緯だったのかな……もう覚えてないんですよね(笑)。

――井林選手はいつからアニメを見るようになったのですか?

広島が実家なんですが、テレビがリビングに一つしかなかったんです。そのテレビでは、いつも母と姉がアニメを見ていまして、僕も一緒に見ていました。

――ご家族がアニメ好きだったんですね。

特に姉がアニメ好きでしたね。アニメ好きというか、声優好きだったのかな。姉は『忍たま乱太郎』が好きで毎回見ていたのですが、毎回キャラを見て「◯◯さん!」って出てくる名前がぜんぶ声優さんなんです(笑)。当時は聞き流していましたが、今思うとすごいなと。

――なるほど。お姉さんの影響が大きかったと。

大きかったですね。あれが分岐点でした。今でも自分の軸になっていると思いますね。

――アニメにハマるきっかけになった作品を覚えていますか?

『コードギアス 反逆のルルーシュ』ですね。当時、高校生でした。最初は渋々見ていたんですよ。それしか見られなかったので。ところが、見ていくうちに、あれ? 面白いぞ? と。そこからアニメに興味を持ち始めました。『コードギアス』はとにかく伏線が張り巡らされた綿密なストーリーが魅力なんです。キャラクター一人ひとりの性格も個性的で、駆け引きがあって面白い。ピリピリした状況が続くので、目が離せないんですよ。

――大好きなことが伝わってきます(笑)。

好きなことになるとテンションが上がってしまうんです。アニメの話ができる人が周りに少なくて、こういう機会をいただけると、どうしても喋っちゃう。「好きなことにはやたら突っ込んで話したがるよな」って周りからもよく言われます。逆に興味のないことは、まったく喋らないらしいです。何を喋ればいいかわからないので、とりあえず聞くだけで「ふーん」って相槌を打っています。自分が知っている話題になると、一気にスイッチが入ってしまうんですよね。