広島電鉄はこのほど、宮崎県串間市で中心市街地の活性化に取り組む市民団体「くしままちづくり協議会」に路面電車750形769号を譲渡したと発表した。同車両はJR串間駅横に静態保存され、観光案内所や物販施設などの活用が検討されているという。

現役時代の広島電鉄750形769号(2013年撮影)

「くしままちづくり協議会」は、材木の運輸で財を成した富豪の旧宅「重要文化財 旧吉松家住宅」の活用を中心に、「大正ロマンのまちづくり」に取り組む団体。日南線の開通に吉松家が尽力した故事にちなみ、電車を取り入れた活性化を提案している。

譲渡される直前の今年5月上旬、769号が荒手車庫に

吉松家と関わりのある鉄道車両ではなく、路面電車を静態保存することに関して、「JRの車両は大きすぎて建物として活用したい我々の計画には合わないので、路面電車にしました」と同協会は公式サイトで説明。コンパクトで活用しやすく、静態保存した際にも乗り降りしやすいことなどが理由だという。

活用方法については、観光案内所や物販施設のほか、飲食店、公共施設などとして使用する案もあり、さらに検討していくとのこと。将来的には風雨を防ぐ上屋を設置し、活用しつつ長期の保存をめざす方針だ。

広島電鉄750形は1965~1968年に大阪市交通局から購入した車両。766号はテレビドラマ『西部警察』の撮影で爆破され、話題となった。769号は長らく現役で活躍した車両だが、2014年3月以降、運用から外れ、廃車が予定されていた。