5月21日は、二十四節気の「小満」(しょうまん)の時期にあたる日です。「しょうまん」と聞いてもピンとこない人が多いかもしれませんが、実は私たちの「食」にまつわるありがたい日です。
現在の日本では太陽の動きを基準とした「太陽暦」が採用されていますが、古代中国では、月の運行をもとにした「太陰暦」が用いられていました。太陽暦と太陰暦とでは、1年が11日程度ズレると言います。数年に一度、1年を13カ月にする閏月 (うるうづき) を設けてズレを調整していたのですが、それでも春夏秋冬という季節感とそぐわなくなることがあったようです。
言うまでもなく、農耕において正確な季節を知ることは欠かせない作業です。そこで、季節の移り変わりを表現するものとして考え出されたのが「二十四節気」でした。上述のとおり、二十四節気は1年を24等分(約15日ずつ)して季節を表したものです。中国の気候が基準となっているため、すべてが日本の気候にピッタリ合うわけではありませんが、季節の目安として取り入れられたようです。
現代でも、「暑中見舞いを出す期間」が「小暑 (7月7日頃) から立秋 (8月7日頃) の前日まで」とされるなど、暮らしの中に息づいているのが二十四節気なのです。
二十四節気
・春
立春 (りっしゅん) 2月4日頃
雨水 (うすい) 2月18日頃
啓蟄 (けいちつ) 3月5日頃
春分 (しゅんぶん) 3月21日頃
清明 (せいめい) 4月5日頃
穀雨 (こくう) 4月20日頃
・夏
立夏 (りっか) 5月5日頃
小満 (しょうまん) 5月21日頃
芒種 (ぼうしゅ) 6月5日頃
夏至 (げし) 6月21日頃
小暑 (しょうしょ) 7月7日頃
大暑 (たいしょ) 7月23日頃
・秋
立秋 (りっしゅう) 8月7日頃
処暑 (しょしょ) 8月23日頃
白露 (はくろ) 9月8日頃
秋分 (しゅうぶん) 9月23日頃
寒露 (かんろ) 10月8日頃
霜降 (そうこう) 10月23日頃
・冬
立冬 (りっとう) 11月7日頃
小雪 (しょうせつ) 11月22日頃
大雪 (たいせつ) 12月7日頃
冬至 (とうじ) 12月22日頃
小寒 (しょうかん) 1月6日頃
大寒 (だいかん) 1月21日頃
七十二候 (しちじゅうにこう) とは
七十二候は、二十四節気の1つずつを、さらに3つに分けたものです。二十四節気が約15日間なので、七十二候はそれぞれ約5日間となります。
中国から伝来した二十四節気がそのまま使用されているのに対して、七十二候は日本の季節に合うように何度か修正されながら現在に伝わっています。そのため、名前も読み方も、時期によって微妙に異なっているのが特徴です。
<参考文献>
三省堂年中行事辞典【改訂版】(三省堂) / 入門 日本の旧暦と七十二候 (洋泉社) / 原色シグマ新国語便覧 増補三訂版 (文英堂) / 暮らしのしきたり十二か月 うつくしい日本の歳時と年中行事 (神宮館) / 日本の風俗の謎 (樋口清之著、大和書房) / 日本人のならわしと暮らし暦12か月 (瀧本マリ子と日本人の暮らし研究会著、海龍社)
執筆:野村佳代
株式会社アスラン編集スタジオ 代表取締役。編集・ライター。一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師。Webサイト「ビジネス文章力研究所」を運営している。