春は公園めぐりに最適の季節。そして、北国・北海道にもやはり春はやってくる。北海道の公園は規模が大きく、広大な大地に根をしっかり張れるからなのか、緑もなんだか生き生きと力強く見える。そこで今回、北海道にあまたある公園の中で厳選し、札幌旅行の折に行けるとっておきの公園を5つ紹介しよう。
また、散歩にはグルメ巡りも欠かせない。『さっぽろおさんぼ日和』(北海道新聞社刊)などの著書もあるすずきももさんに、合わせて訪れたいカフェ&レストランを紹介していただいた。
北海道神宮の帰りはここで森林浴
札幌市内の移動には地下鉄が便利。路線も東西線、南北線、東豊線の3つというシンプルさもいい。まず紹介する「円山公園」も、地下鉄からアクセスしやすいところにある。
最寄駅は東西線「円山公園駅」。3路線がつながる「大通駅」から3駅目の駅なので、札幌市内観光の片手間にも楽しめる。駅から徒歩約5分のところにある公園は、広大な敷地を誇る「北海道神宮」に隣接している。神宮でお参りを済ませたら、「円山動物園」に続く公園内の遊歩道を歩いてみよう。ちょっとした森林浴気分が味わえるはず。
円山というエリアは、東京でいえば青山あたり。札幌の高級住宅街かつオシャレなエリアなので、個性的なお店もたくさん。公園散策の後は、公園から徒歩1~2分のところにある喫茶店「森彦」で一休みしてみては? 同店は札幌に次々と店舗を展開しているが、円山にあるこの店は1号店となっている。ここのスイーツはどれも絶品! それもそのはず、自信作のレシピだけを集めて、別店舗でお菓子の専門店を作ったほどの実力派なのだ。
都会のオアシス的な存在
次に紹介する「中島公園」も地下鉄を使って気軽に行ける。公園は南北線「中島公園駅」もしくは南北線「幌平橋駅」そばに位置しており、札幌の中心にあるいわば「都会のオアシス」的存在だ。なお、この駅も「大通駅」から2,3駅目に位置している。
公園の中にはたくさんの彫刻があり、一つひとつ見て歩くだけでも興味深い。4月下旬からは、公園の真ん中にある大きな池(菖蒲池)でボートに乗ることもできる(一艘40分600円)。札幌のコンサートホールの草分け「Kitara」や、北海道にゆかりのある作家や歴史資料が展示されている「北海道立文学館」も園内にあるので、合わせて楽しんでみるのもいいだろう。
散歩の後の小休止には「倉式珈琲」へ。窓から新緑が見える店内で、サイフォンで入れたコーヒーを飲むと、すごくホッとした気分になる。倉式珈琲へは「幌平橋駅」から徒歩約3分。
●information
「倉式珈琲店 札幌中島公園店」
住所: 北海道札幌市中央区南16条西5丁目1-13
営業: 8:00~23:00
定休日: なし
ここからは、札幌の郊外にある公園。少なくとも半日くらいは時間を見て訪れるのがいいだろう。
公園がすでにイサム・ノグチの世界
公園そのものが彫刻家イサム・ノグチの「全体をひとつの彫刻作品とする」というコンセプトのもとに造成された「モエレ沼公園」は、北海道観光で見逃せないスポットの常連だ。モエレ沼公園へのアクセスは地下鉄東豊線「環状通り東駅」からバスで約20分となる。スコーンと抜けるような青空に目の前を何も遮るものがない広い緑は、まさに「ザ・北海道」という風景。遊具広場の遊具も全てイサム・ノグチがデザインしている。
ガラスのピラミッドの中にはイサム・ノグチに関するギャラリーとショップの他、1階にはフレンチレストランの「ランファン・キ・レーヴ」がある。フランス語で"夢見る子供"という意味の店名通り、地元食材を使った伸びやかな料理を提供。ディナー(税込3,680円~)なら、モエレ沼に沈む夕日を眺めながらの時間帯が最高だ。
ポプラが立ち並ぶ壮大な運河
水と緑の調和を楽しみたければ「前田森林公園」へ。公園までは地下鉄南北線「北24条駅」からバスで約20分となる。
展望ラウンジから手稲山に向かって約600mのカナール(運河)がまっすぐに伸び、両側の240本程のポプラが空を仰ぐ景色は、日本にいながらにして外国気分が味わえる。「ふるさとの森」「つどいの森」「野鳥の森」など公園の半分が森なので、森に包まれたような安心感も覚える。
前田森林公園からはやや離れてはいるものの、ここに来たなら合わせて味わっていただきたいのが「徳光珈琲 石狩店」の「ドリップコーヒー」(税込400円)だ。どれもオリジナルブレンドで、ローストを自由に選べるのがうれしい。特にオススメのなのは「チョコ深」ブレンド。ビターなのにチョコのような香りと甘さを感じる個性的な味わいが楽しめる。
公園内に芸術があっちにもこっちにも
最後に紹介する公園は「札幌芸術の森」。約40haと北海道ならではの広さを有した公園は、まさに名前の通り芸術的な造りになっている。アクセスは地下鉄南北線「真駒内駅」からバスで約15分となる。
公園内には「野外美術館」があり、国内外の64作家・73作品が野外展示されている。作家たちは実際にこの地を訪れ、地形や札幌の気候などからイメージをふくらませ、新たに制作した作品を展示している。それらをめぐってのんびり散歩するだけでも楽しい。なお、野外美術館へは公園内の「佐藤忠良記念子どもアトリエ」と共通年間パス(1,000円)が必要になる。そのほか、野外コンサートが開かれる「野外ステージ」や「有島武郎の旧邸」などもあり、芸術と自然が一体となっていることを実感できる。
芸術の森を支笏湖方面に徒歩2,3分のところにあるのが、オリジナルの麺が人気の創作料理「本日は、ぷくぷく商店」。ほうれん草パウダーを練りこんだ「ぷくぷく麺」(税込850円)の他、ヨモギやレモンバームなどを練り込んだ「野草麺」(税込850円)がある。ダシは天然素材のみでとり、健康的にサラっと食べられるのが魅力のお店だ。
●information
「本日は、ぷくぷく商店」
住所: 札幌市南区常盤5-2-97-22
営業: 11:30~22:00(別曜日のみ~15:00)
定休日: 不定休
今回、札幌観光の隙間時間に楽しめる公園から、1日たっぷり味わえる公園までを紹介した。公園の魅力はその季節によっても変わってくる。今回は特に春シーズンを意識してチョイスしてみたので、ぜひお早目の訪園を!
※記事中の価格・情報は2015年4月取材時のもの
筆者プロフィール: 楢戸 ひかる(ならと ひかる)
1969年生まれ 大手商社勤務を経てフリーライターへ。中学生と小学生の男児3人を育てる主婦でもある。生活に役立つ情報を「主婦er」にて更新中。また、長期投資を始めた日々の記録をメルマガ「主婦が始める長期投資」で配信中。メルマガ申込みは「主婦er」より。