葛西臨海水族園は公式Webページにて、メンダコ飼育展示へのチャレンジの様子を紹介している。

到着したばかりのメンダコ(生物保護のために赤色のライトを使用している)

飼育が難しいメンダコの展示にチャレンジ

メンダコは水深200~600メートルの深海にいるタコの仲間。深海生物に注目が集まることが多い昨今、その中でもとくに注目されている。丸い扁平な体はUFOを彷彿とさせるが、頭のてっぺんには可愛らしい耳のようなひれが生えている。

深海生物であるメンダコの生態には未知の部分が多く、その解明のためにも、同園では長年メンダコの飼育に取り組んできた。体はぶよぶよで柔らかい寒天質のため、同園の採集の唯一の手段である深海底曳網では傷がつきやすい。また、無傷のよい状態のものでも、なぜか長期飼育は難しかった。そのため、同園における最長飼育記録は20日間にとどまっている。

メンダコを飼育している非公開エリアの水槽

丸い扁平な体に、頭のてっぺんには耳のようなひれが生えている

これまでの経験をふまえ、網をひく時間を短くしたり、なるべくメンダコにストレスがかからないように運んだりするなどの工夫を行ってきた結果、3月17日に採集されたメンダコは、とてもよい状態でやってきたという。

これまでの飼育経験などから、メンダコが光に対して過敏に反応する行動が確認されたため、今回は真っ暗にした水槽を非公開エリアに用意。するとメンダコは水槽の底で落ち着いた様子を見せ、5日後には餌を食べ始めた。その後も餌をよく食べていたが、残念ながら今回のWebでのレポートが出る前に死んでしまったという。

しかし今回、同園での飼育記録は30日間に更新することができた。今後は死亡の理由を解明し、さらに長期の飼育を目指す。また、真っ暗な中でもメンダコの姿が見られるよう、展示の工夫に取り組んでいくとしている。