政府はこのほど、「労働基準法等の一部を改正する法律案」を閣議決定した。同決定には、年収1,075万円以上の専門職労働者を労働時間、休日及び深夜の割増賃金等の規定の適用除外とする「残業代ゼロ法案」も含まれる。

「労働基準法等の一部を改正する法律案」を閣議決定(画像はイメージ)

このたびの改正は、「長時間労働を抑制するとともに、労働者が、その健康を確保しつつ、創造的な能力を発揮しながら効率的に働くことができる環境整備」のために実施されるもの。

見直しは「長時間労働抑制策・年次有給休暇取得促進策等」及び「多様で柔軟な働き方の実現」の2項目。

有給休暇の確実な取得

「長時間労働抑制策・年次有給休暇取得促進策等」では、「中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し」「著しい長時間労働に対する助言指導を強化するための規定の新設」「一定日数の年次有給休暇の確実な取得」「企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取り組み促進」を盛り込んでいる。

「一定日数の年次有給休暇の確実な取得」では、雇用側は「10日以上の年次有給休暇が付与される労働者」に対し、有給休暇のうちの「5日」を毎年、時季を指定して与えることを義務化している。

「残業代ゼロ制度」では休日の割増賃金などが適用外に

「多様で柔軟な働き方の実現」においては、「フレックスタイム制の見直し」「企画業務型裁量労働制の見直し」「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設」の3項目が盛り込まれている。

「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設」では、研究職など職務の範囲が明確で、一定の年収(1,075万円以上)を有する労働者が対象となる。内容は「健康確保措置等を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする」となっている。

「中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し」を除く6項目は、2016年4月1日に施行するとしている。

(※画像は本文とは関係ありません)