愛知県民のソウルスナック「しるこサンド」。昭和41年(1966)に発売され、愛知県内のスーパーにはもれなく置いてあるご当地ロングセラーだ。そんなしるこサンドの専門店が2月26日、愛知県小牧市にオープンした。しるこサンド食べ放題のみならず、なんと「生しるこサンド」なるものがあるらしい。早速、その専門店に行ってみた。
あんこに適度の塩気の和洋折衷スナック
そもそもしるこサンドとは、ビスケットにあんこをはさんで焼いた和洋折衷のスナック。まったりした甘みが、あんこ大好きの愛知県民のハートをわしづかみしている。あんこはビスケットの適度な塩気とも相性がいい。近年は全国に販路を拡大するとともに、新たなバリエーションも次々と開発するなど、懐かしい素朴な味わいを守りつつも、新しい魅力を広げている。
そんなしるこサンドの専門店の名は、ショップ+カフェ「しるこサンドの森 あん・びすきゅい」。しるこサンドの製造元である松永製菓が直営する店である。ちなみに、「あん・びすきゅい」はフランス語で"ひとつのビスケット"という意味。同店は本社工場と同じ敷地内にあり、名古屋市中心部から車で30分ほどとなっている。
いろんなしるこサンドが大集合!
ショップスペースは右を向いても左を向いてもしるこサンドだらけ。「スターしるこサンド」「しるこサンドスティック」「しるこサンドクラッカー」「しるこサンドクリームサンド」「しるこサンドさつまいも」「しるこサンド黒ごま」「しるこサンド抹茶」……。「愛知県民はどんだけしるこサンドが好きやねんっ! 」とツッコミたくなる"しるこサンド祭り"状態だ。
中でもここでしか買えないレア物は、「しるこサンドビスケットポット」と「メガしるこサンド」。「メガしるこサンド」(250円)は通常のしるこサンド15枚分のビッグサイズで、顔が描かれたデザインも愛らしい。
カフェスペースではビスケットバイキングを実施。3月末までは大人380円・小学生未満120円というオープニングキャンペーン価格で提供している。本社直営・工場直送だからこそできる価格設定だ。10種類以上のビスケットが食べ放題で、もちろんしるこサンドもある。うれしいことにジュースや紅茶などのドリンクも飲み放題となっている。
生しるこサンドはちょっと大人
同店の最大の目玉は、同店限定販売の新商品「生しるこサンド」。実にデビュー49年目にしてついに実現した半生タイプのしるこサンドである。ビスケット生地はしっとり柔らか。従来のしるこサンドはボリボリという食感だが、すっと歯が入ってほおばる音がしないほど。あんをねり込んだクリームもこれまたしっとりしていて、粒あんタイプは小豆の粒々感も楽しめる。
「長年研究を重ねてようやく完成しました。ビスケット生地の原料は従来のしるこサンドとほぼ同じなのですが、製法に工夫を凝らして、しっとりした新しい食感を出すのに成功しました」と松永製菓担当者は言う。
生しるこサンドはこしあん(140円)とつぶあん(160円)の2種類があり、価格的にも味わい的にも"ちょっと大人なしるこサンド"といったところ。しるこサンドを食べて育った愛知県民への手土産にしても、「ついに生が出たか! 」と大いに喜ばれそうだ。
愛知県民のソウルスナック、しるこサンドを余すことなく堪能できる「しるこサンドの森 あん・びすきゅい」。しるこサンドファンはもちろん、しるこサンドをまだ食べたことがない人も、心行くまで楽しんでいただきたい。
●information
しるこサンドの森 あん・びすきゅい
愛知県小牧市大字西之島330
※記事中の情報・価格は2015年2月取材時のもの。価格は税込
筆者プロフィール: 大竹敏之(おおたけとしゆき)
名古屋在住のフリーライター。雑誌、新聞、Webなど幅広い媒体で名古屋情報を発信。Webガイドサイト「オールアバウト」では名古屋ガイドを務める。名古屋メシ関連の著作を数多く出版。『名古屋の喫茶店』『名古屋の居酒屋』『名古屋メン』『続・名古屋の喫茶店』(リベラル社)は自腹リサーチをコンセプトにしてご当地ロングセラーに。10月上旬にはご当地グルメコミックエッセイ『まんぷく名古屋』(KADOKAWA、森下えみこ著)に案内人として登場。