リクルートマーケティングパートナーズは2日、小中学生向けのオンライン教育サービス「勉強サプリ」の提供を開始した。

「勉強サプリ」のホーム画面。学習回数などをグラフにより可視化し、やる気と継続マインドを高める

同サービスは、2011年から同社が高校生向けに提供している「受験サプリ」の小中学生版。小学4年生から中学3年生を対象に、一流の講師陣による授業動画やドリルなどの教育コンテンツを月額980円で提供する。サービスはウェブブラウザーベースでの閲覧が可能で、おもにパソコンやタブレット端末で視聴する。小学生向けは国語・算数・理科・社会の4教科、中学生向けは英語を加えた5教科を展開する。

同日開催された報道関係者向けの事業発表会にて、リクルートマーケティングパートナーズ執行役員・ネットビジネス本部長・サプリシリーズ総責任者の山口文洋氏は「保護者の所得や地域による教育環境の格差を解消したい」と本事業への意義や意気込みを説明。3年前からサービスをスタートしている高校生向けの「受験サプリ」については教育界のカリスマ講師陣による約2,000時間の授業を配信しており、サービス開始以降既に累計会員数は138万人を突破。受験生の2人にひとりにあたる30万人が無料会員として利用しており、有料会員も8万人という全国の受験予備校と比較すると3位の規模に達している実績を誇るという。また、全国の公立・私立高校において授業に活用されている事例も紹介された。

山口氏曰く「万を持しての小中学生向けのサービス」という今回の新サービスのスタートアップについては、児童だけでなく保護者向けのコンテンツにも力を入れていることが特徴だ。発表会に出席した、NPO法人CANVAS理事長でデジタルえほん代表取締役も務める、慶應義塾大学准教授の石戸奈々子氏は「21世紀型のスキルというのはこれまでのような記憶・暗記型の教育だけではなく、自発性をもって自ら主体的に行動を起こせることが不可欠。そのために、例えば動画を使ってより楽しくわかりやすく、また人や物との関係性を持って、効率的に学習することができるという意味で非常に可能性を秘めている。まずは保護者の側にその意義を啓蒙して、それを親から子へどう伝えていくかを考えるためのコンテンツを提供していきたい」と語る。そのほかにも子どもが取り込んだ授業やドリルの回数、正答率などの報告やその分析結果から子どもの誉め方などをアドバイスするレポートを学習日の翌日にメールで送付するサービスも提供する。

リクルートマーケティングパートナーズ執行役員・ネットビジネス本部長・サプリシリーズ総責任者の山口文洋氏

「勉強サプリ」において保護者向けの教育コンテンツの開発・制作メンバーとして参加する、NPO法人CANVAS理事長、デジタルえほん代表取締役、慶應義塾大学准教授の石戸奈々子氏

一方、一般教科以外の教養、プログラミング、プレゼンテーション能力といった“21世紀型スキル”のコンテンツも用意。また、設問の正答率や訪問頻度をグラフで表示し、成果の“可視化”を図ることでモチベーションアップにつなげたり、学習状況に応じてポイントを獲得できるなどゲーム性の要素も取り入れ、学習継続意欲へつなげる工夫も施されている。ドリルコンテンツに関しても、過去の解答データから苦手問題や間違いの真因を分析し、復習を図るといった個々の学習状況に応じたレコメンド機能を持つのも特長だ。

山口氏は、他社のオンライン通信教育サービスとの最も大きな違いは「他は単元型のドリル形式が主流だが、先生型のカリキュラムに即して提供している。新しいかたちの通信教育と考えている」と説明。また、「小学4年生ぐらいになると学習塾に通い始める子どもが多いが、昼間は学校、夜は塾といった、いわば教育のアウトソーシング化が進んでいる一方で、家庭での関わりが低下してきている。本サービスで教育の場をもう一度家庭に取り戻して、子どものスタディバランスを適正化したい。勉強だけでなく、好きなことをやるとうバランスを大事にしながら、小中学生が自発的に勉強する習慣を身につけるためのサポートをしていきたい」と、本サービスが目指す取り組みと優位性を強調した。

漢字の講義動画を再生。黒板の前で実際に講師が立ち、リアルな教室と同様に授業を行う

授業後のドリル画面。授業の学習内容の理解を確認・テストする

小学4年生向けの「社会」のメニュー画面。一般常識や雑学につながる、大人にも興味深い項目が並ぶ

新サービス「勉強サプリ」は、3月2日時点で430コマの授業を提供。今後も随時拡張していく。3月31日までは1カ月無料キャンペーンを実施している。