ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなど、人とつながることができるインターネットサービスが増えてきました。そこでは、日記代わりに自分の身の回りの出来事を投稿したりします。当然、自分自身の写真を投稿することだって珍しくありません。

自撮りをネット上に投稿するのはなぜ?

そのためか、自分で自分を撮影する"selfie"という言葉が注目を集めたり、昨年はスマホで自分をきれいにとるための自撮りのスティックが流行したりしました。ですが、自分の写真をインターネット上に投稿するのって、やっぱり恥ずかしかったり、どこか危なくないのかなって思ったりしますよね。それでも、自分の顔や顔の一部の写真をアップするのはどうしてなのでしょうか。

基本的には、自己への承認欲求、賞賛欲求、自己愛が存在していると思います。まず、自分の写真を投稿できるということは、自分の顔やスタイルに一定の自信があるからでしょう。恥ずかしかったら、自分の写真なんて投稿できませんよね。いってみれば、ナルシストな傾向があるのだと思います。

ただこれは、つねにナルシストだからというよりも、それまでは自分に自信がなかったものの、何かのきっかけで化粧がうまくなった、整形によって理想的な自分を手に入れたということなどをきっかけに、自分をもっとひとに見せたいという欲求が生まれ、自撮りした写真をアップするという行動に出ることも考えられます。

「認めてほしい」という気持ち

そして、そんな自分だからこそ、人にもっと見せたい、見てほしいという気持ちが生まれます。そして、それを認めてほしいという気持ちも生まれるわけです。

というのも、自撮りした写真を投稿した場合、その他の写真を投稿した場合に比べて"いいね!"を押してもらいたいという気持ちが強く働くと思うのです。つまり、"いいね!"の数というのはそれだけ自分を認めてもらえたということの証なんです。そして、もっと自分を認めてほしい、もっと"いいね!"がほしいと、極端な場合は性的な写真まで投稿するという行動にまででる人たちがでてくるんです。

なんだ、結局は「自分を見てほしい」「気にしてほしい」というナルシストで、自分のことをかまってほしいかまってちゃんなのか。そういってしまえば、それまでです。ですが、裏を返せば、本当は自分に自信がなくて、自分は自信をもってもいいのだということを証明したいというひとなのかもしれません。必要以上の賞賛は必要ありませんが、自撮りの写真を投稿している人がいたら、素直にかわいい・かっこいいといってあげるといいかもしれませんね。

※写真と本文は関係ありません

著者プロフィール

平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。京都大学研究員、国際日本文化研究センター講師、チュラロンコーン大学講師などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。魅力や男女の恋ゴコロに関する心理にも詳しい。現在は、生活の拠点をバンコクに移し、日本と往復しながら、大学の講義のみならず、テレビ、雑誌、講演会などの仕事を行う。主著は『化粧にみる日本文化』『黒髪と美女の日本史』『邪推するよそおい』など。