「愛される女になるために」「大切にしたいと思われる女性になる方法」みたいな記事が目につくと、パブロフ条件反射クリックしてしまう私と同じ病気の皆さん、こんにちは。ぱぷりこです。

こういうモテ記事って読み終わった時に、エベレスト登頂後? ってくらいにぐったりと体力を奪い去るほど「愛されるために男性を立てて気持ちよくさせろ」みたいな内容が多くありませんか? 誰だって幸せな恋愛をしたいですし、そうするための「コツ」があることは事実です。アウストラロピテクスから計算すれば人類もそろそろいい年こいてますし、経験と調査による恋愛ハウツーはあって当然。

しかし、なぜ日本の女性向け恋愛マーケットはかくも「愛される」という受動態が多いのか、しかもそれを女性側が「そうね! 愛されなきゃ! 」と疑問も持たずにそのまま受容しているのか? 今回はそんなところを見ていきたいと思います!

いわゆるハウツーで上げられる「愛される女性」ってどんな女性?

さて、まずはよく言われる「愛される女」の条件を確認しましょう。ぱぷりこ総研(2015)が調べた副音声付の「愛される女」「大事にしたい女」10条件はこちらっ!

1.笑顔がたえない(だからすごく癒やされる)
2.ヒステリックに怒らない(怖いよ! ぼくを責めないで! )
3.自分を褒め、立ててくれる(男はプライドの生き物だにゃん)
4.自分だけに依存しない(趣味があって輝いてる)
5.自分のことを一番に考えてくれる(だから浮気とかしない)
6.料理上手・床上手(そのまんま)
7.いざという時に支えてくれる(けど普段はほっといてくれる)
8.適度な距離をとってくれる(束縛とかしないで、やりたいようにさせてくれる)
9.身だしなみに気をつけていて、常に緊張感を忘れない(女性としての魅力を失わない)
10.そばにいるとくつろげる(いろいろ要求してこない)

うん。まぁ。そうな? いやいや私だってこの条件を身につけている男性がいたら五体投地で交際を申し込むわ! !

モテ記事のメッセージは「ブラック企業の社畜になれ」とほぼ同義

ハイいつもの「男にとってのいい女=都合のいい女」論ですねーお疲れさまです。仕事もして、家事もして、メイクもきちんとして、振る舞いは相手のプライドのために「たてる」ことに注力して、でもひとりになりたいだろうから適度に放置して、いざという時には経済面でも支えられる。これなんて無理ゲー? これだけフルコース女体盛りな女性は、異性同性を問わず争奪戦ですよ。

結局こういう恋愛ハウツーが言ってることは「タダで何でもくれる、あしなが女子さんが好き」ってことです。「自分たちにとって都合のいい女性でいてほしい」という欲求を、「こうすれば愛される女になるよ! 」という美辞麗句でダサピンクラッピングしてるだけ。

できるだけ低い対価で最大限の利益を得たい。わかるよ? そういうブラック企業やモンスタークレーマーみたいな欲望。私だって「100円でフレンチのフルコース食べれたらステキ! 」ってそりゃ思いますよ。でもそれ、男性に望まれたからってやるんですか?

身をごりごり削って出血サービスしても、貧血疲弊するだけ。でもなぜか皆さん喜んで切り身ショー。それができない人は「愛されないのは愛され要素が足りないせい」「彼氏ができないのは努力が足りないせい」と自分を過剰に責める。うん、地獄だな?

「愛され女子」になりたい、本当の目的は?

「ごちゃごちゃうるさいわー、取りあえずニーズどおりやればいいんでしょ? 」と「具体的に手を動かすこと」の命令だけを欲しがる使えない新人みたいに思考停止する前に、自分の姿と欲望をちゃんと見つめてみることをオススメします。

「自分から動かずに相手からの愛をひたすら待機」の姿勢って、まるで甘い香りで誘ってかっくらう食虫植物のようだけど、こういうウツボカズラ恋愛を女性の皆さん、本当にやりたいんでしょうか。

「愛され女子」になりたい、本当の目的はなんですか? 自分とは違う人間と関係を築きたいんじゃなくて、「選ばれた」「他の人間より優れていると認められた」というプライドと承認欲求を満たしたいだけなんじゃないでしょうか。あるいは自信がなくて臆病で自分からいくのは怖いから、見た目だけ偽装して「選ばれるのを待つ」のでは?

自分の本当の欲望を見つめるのはつらいことです。「都合のいい女になって! 」という要求と同じぐらい、「愛されたい」本当の理由もだいたい醜い。ですが、自分の価値観と求めているものを知らずにいると、振り回されて疲弊して自信を失ってしまうだけ。自縛自縄して、身を削って相手のニーズに沿うことで「愛を乞う」マリオネットになり果てようとしてない? その息苦しさの対価に「愛」を得ようとする。苦しみの対価が愛なの? 違うだろ。

順序が違う! 他人のニーズの前にまず自分のニーズ

そもそも「愛されハウツー」のメッセージって、発信してる方も「過剰要求」だとある程度わかっててやってると思います。理想を垂れ流すだけならコストかかりませんからね。そういう適当な言葉を「愛されるためにはこれをやらなければ」と呪いの言葉のように感じる必要なんてないんですよ。

適当な外野の「そっちじゃないこっちだよこっち! 」という野次に振り回され、自分にとっての「ゴール」の枠を決めずにむやみにシュート打ちまくったって、永遠に得点にならないのです。

できる限り多くの男性にチヤホヤされたいのか、不特定多数とホテルに行きたいのか、友達が彼氏いて悔しいから彼氏ポジション埋めたいのか、一人で家にいると体育座りしかすることないから暇つぶししたいのか、承認欲求を満たしたいのか、恋人と楽しい時間を過ごしたいのか。当たり前すぎるけど、けっこう自分のニーズに気づいていない女性って多い。 猛禽系モテ女子は、「ステータスの高いイイ男をゲットして結婚」という明確なゴールを持ってるから強いんですよ。テクニックだけ真似しても無駄です。

ちなみに自分がどうしたいかのゴールを決めず、自分を持たないまま「愛され」受動態を徹底するとどうなるか? 絶食決めてる「普通の男」ではなく、機動力の高い一部の遊び人や既婚おじさんがよく釣れます。そこじゃない! そこの界隈に愛されたくなんてない!

クレクレ地獄から脱獄せよ! 我々は受け身一択の食虫植物ではない、人間なのだ

「こんな都合のいい女がいたら楽だからいいわー欲しいわー」「じゃあそのニーズに応えるから愛をよこせ」という関係には、「誰かと一緒にこういう関係を築いていきたい」「人をこういう風に大事にしたい」という視点がお互い決定的に欠けている。女がいくら受動で「愛され」決めたって、男も受動で「愛され」たいから動かない。どっちも受け身のクレクレ地獄。

この地獄から抜けるには「受動態」を放棄し、「能動態」になるのが手っ取り早いです。性的アプローチしまくれと言ってるわけじゃありません。まずは自分のニーズを把握するところから。

もし恋人が欲しいなら、「わたしはこういう人が好き」という譲れないポイントを2つ3つ見つけて、そういう人がいるマーケットをリサーチして参入し、失敗と成功を繰り返すサイクルを回せばいいんですよ。食虫植物には足がないから受け身一択ですけど、うちら言うて哺乳類サル目ヒト科ですよ? 霊長類の誇りを持って、能動的に思考し、動きましょう。

恋愛は結局のところ「愛し愛される」相互の補完関係なので、「私が私でいられる相手に大切に扱われたい、そして自分も相手を大事にしたい」と望むなら、受け身の姿勢で「選ばれる」ことに注力したって大して意味ないです。

自分自身が「どうしたいか」に自覚的になって掘り下げれば、自分の魅力は相手に定義してもらう必要なんてなくなります。これだけウケミンが多い恋愛市場、能動的にいったら強いですよ。自覚した魅力の最大限アッピルと好意チラ見せで、横綱相撲をしてさしあげればよろしいのでは。ぱぷりこでした。

※画像は本文と関係ありません


<著者プロフィール>
ぱぷりこ
ブログ「妖怪男ウォッチ」の中の人。ラブ魔窟でエンカウントした妖怪男女と自意識の供養に全力を注いでいる。恋愛相談は最終的にすべて「うん、哲学しよ? 」に持っていく思考原理主義。女子会では、占い師呼ばわりされて終身恋愛顧問になるか、二度と呼ばれないかの二択。
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