日本貿易振興機構(JETRO)はこのほど、2014年度「在アジア・オセアニア日系企業実態調査」の結果を発表した。それによると、ASEAN進出企業の"事業拡大意欲"が中国進出企業の事業拡大意欲を3年連続で上回ったことがわかった。

今後1~2年の事業展開の方向性を「拡大」と回答した割合は56.3%で、前年より3.5ポイント減少した。進出先別に見ると、中国では「拡大」の割合は同7.7ポイント減の46.5%と5割を切り、「現状維持」が増加。ASEANでは「拡大」の割合は同2.8ポイント減の60.3%と微減したものの、2012年以降3年連続で中国を上回り、今回はその差が13.8ポイントに拡大した。

1~2年で事業を「拡大」とする比率の推移 (2008~14年、中国・アジア主要国比較)(出典:日本貿易振興機構Webサイト)

経営上の問題点を聞くと、「従業員の賃金上昇」が72.2%で最も多く、特に中国、インドネシア、カンボジアでは8割以上に達した。

コスト上昇への対応策としては、「管理費・間接費の削減」の49.5%と、「原材料調達先・内容の見直し」の41.4%が、4割を超えた。現地調達率を見ると、中国は年々上昇しており、今回は2005年以降最高の66.2%に上った。また、製造コストに占める割合が平均60.2%に達する材料費の低減に向けて、「現地調達率を引き上げる」方針を示した企業は全体の75.7%となった。

2014年の営業利益(見込み)が「黒字」の企業は63.9%(前年64.6%)だった。

調査期間は2014年10~11月。調査対象は北東アジア5カ国・地域、ASEAN9カ国、南西アジア4カ国、オセアニア2カ国の計20カ国・地域に進出する日系企業で、有効回答数は4,767社。