厳寒の日本海が育む幸といえば「越前ガニ」である。毎年11月6日に漁が解禁され、生きたまま三国港に運ばれるカニは、夕方より競りが行われる。越前海岸でのカニ漁は歴史も古く、江戸時代初頭には行われていたようだが、気になることは「どうすればおいしい越前ガニにたどり着けるのか?」だろう。そこで、カニのプロたちにおいしい越前ガニの選び方・食べ方を聞いてみた。

三国港で夕方から始まる競りは一般に開放されているわけではないが、港のそばで競りの様子をうかがうことはできる

通はセイコを好む!?

そもそも越前ガニとはなんなのか? 越前ガニはズワイガニの地域ブランド名で、地元の人はオスを"アシナガ"や"ズワイ"、メスを"セイコ"などと呼んでいる。オスとメスでは大きさのほか味も異なる。オスの越前ガニは数千円からで、大きいものだと1.5kg(1万8,000円程度)にもなる。一方、メスは手のひらサイズで500円程度からある。メスはオスに比べて甘みが強いため、地元の人の中には「セイコの方が好み」という人も少なくない。

越前ガニの漁は毎年11月6日に解禁され、メスは12月末まで、オスは3月20日までとなる。漁は深夜に港を出て翌日の夕方前に帰港するほか、1回の漁が数日に渡ることもあるそう。カニ漁師によると、「カニは身がしまったものが味が濃くておいしいため、季節としては1~2月がベスト」ということだった。ただ、その頃だとセイコの漁は終わっているので、時期を見逃さないようにしていただきたい。

生きたまま競りにかけられる越前ガニたち

紅色に染まった越前ガニはどれもおいしそうに見えるのだが、どうせなら一番おいしいものを味わいたいところ。カニ漁師に「おいしい越前ガニを一発で見分けるには?」と質問したところ、さっとカニを裏返してくれた。「ずっしりとした重みももちろんですが、見た目で判断できるのは裏なんです。肉厚でより白いカニを選ぶようにしてください」とのこと。カニを選ぶ時は、その面構えよりも裏がポイントのようだ。

三国港のそばの魚問屋「たけ庄」にて。値段も数百円から1万円越えまで幅広い

こちらは1.5kgで1万8,800円

卵をしっかりと抱えたセイコ

選びたいのは下のカニ。より白く、身が詰まっていることが分かる

身をスルッと取り出す方法

おいしいカニの選び方は分かった。次はおいしい食べ方である。地元の方にうかがったところ、カニのうま味を一番味わえるのはやはりゆでガニらしく、濃厚な味噌はそのまま食べるのみならず、日本酒を注いで甲羅酒として味わうもよし。

とは言え、ゆでガニをきれいにむくのはなかなか難しい。どこから手をつけようか悩んでいると、地元の方が「ちゃんとむき方があるのよ」と手を差し伸べてくれたので紹介したい。それでもちょっと手間はかかるが、身がスルスル出てくるのは面白く、がっつり身を楽しめるのはうれしいもの。実際、むき方を教えてくれた地元の方に「こんなにきれいにむいていただきありがとうございます」と、お礼を言ってもらえるほどきれいにむけた。

オスの越前ガニが本日のメイン

(1)カニを裏返して「ふんどし」と呼ばれるかに腹部の前掛け部分を外す
(2)足をまとめてつかみ、上にあげて切り離す
(3)呼吸器にあたる「ガニ」を外す
(4)足を関節方向に曲げながら切り離す
(5)抱き身を真っ二つ切る
(6)かにフォークを使って身を取り出す
(7)足の根元・関節前・関節部分ではさみを入れる
(8)爪側の足を関節前で切った穴の方から差し込んで身を取り出す

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大変きれいにそげました! こちらはカニ味噌とともに

今回はオスを食したが、一杯食べきるとおなかも一杯になってしまった。メスのセイコは甘みのある身のほか、赤いダイヤとも賞賛される濃厚な旨みの内子(うちこ)やプチプチとした食感外子(そとこ)などの卵が魅力。小ぶりでありながら、濃厚さではオスにも負けないという。カニのシーズンは始まったばかりだが、季節ものなのでどうか食べ損ねのないように。

※記事中の情報・価格は2014年11月取材時のもの