インド・ニューデリー在住のシラジ・ユディンさん(28歳)さんは、日本人駐在員向けのサービスアパートメントやビジネスセンターを運営する日系企業に勤務。それらの施設のIT関係全般のマネージメントと共に、役員の仕事のサポートもこなしています。会社が変わっても日本の会社で働きたい、というシラジさんにお話をうかがいました。

■これまでの仕事の経緯を教えてください

シラジ・ユディンさん/インド・ニューデリー在住/28歳/日系企業アシスタントマネージャー

学生時代はIT(情報技術)を専攻して、ハードウエアもソフトウエアもなんでも勉強していたよ。最初はインドの会社でIT関係の仕事をしていて、転職したのが2012年。もう2年半以上、今の会社で働いている。

■現在のお給料は以前のお給料と比べてどうですか?

そんなに多くはないよ。でも前の会社よりもお給料はよくなっているよ。

■今の仕事で気に入っているところ、満足を感じる瞬間は?

日系企業で日本人のボスがいて、日本人のお客さん(各施設を利用する駐在員など)を相手に働くのが好きなんだ。すべてシステマチックに仕事が進んで、約束を守るし、時間に正確。物事をみんなでよくしていこうという雰囲気が常にあるからね。

僕がこの会社に入ったばかりのとき、IT関係のトラブルで会議室に呼ばれたんだけど、最初は言葉も違うし、とても不安だった。僕が初めて見た日本語は日本のコンピュータの画面だったんだ。でも、なんとかプリンターやインターネットとかの設定ができたときは、ものすごくほっとした(笑)。日本のお客さんにはインターネットはとても重要だしね。今でもIT関係のトラブルを解消して、日本人のお客さんに「ありがとう」とか「やるね!」と言ってもらえたときは本当にうれしいよ。

■逆に今の仕事で大変なこと、嫌な点は?

大変なのは、やっぱりコミュニケーション。僕らが使う英語と日本人の使う英語は発音も言い回しも少し違っていて、なかなかこちらに要望が伝わらなかったり、こちらの言いたいことが伝えられなかったり。でも逆に、苦労して伝わったと思った瞬間はうれしいけどね。

■ちなみに、今日のお昼ごはんは?

今日は会社近くの北インド料理レストランで、ヨーグルト系のカレー「カディライス」(税込サービス込で約110インドルピー ※約200円)と牛乳ベースの甘い「ラブリ」(税込35インドルピー ※約65円)をデザートに。でも、奥さんに作ってもらったお弁当を食べるときも多いよ。僕はムスリムで肉も食べるけど、今日食べた「カディライス」はベジ料理。

僕の会社では、日本人のお客さんに日本食も出しているけど、実はあまり僕は食べたことがない。豚肉がよく使われるけど、ムスリムには許されていないしね。でも一回食べたミソスープ(味噌汁)と野菜の寿司はとても美味しかったよ。

ヨーグルト系のカレー「カディライス」

■日本人のイメージは? あるいは、理解し難いところなどありますか?

仕事とプライベートをものすごくきっちりわけている印象。仕事のときはプロフェッショナルで約束や時間をきっちり守って、ぼんやりしていることをクリアにしてお互いに効率よく仕事ができるように物事を進めていく。感情的にならずにね。そして仕事に対して100%コミットして、その仕事をやり遂げる。

一方、プライベートはとっても気さく。僕はムスリムなんだけど、ムスリムの「イード」というお祭りのときに日本人のお客さんから羊の家庭料理が食べたいというリクエストがあったから、母にマトンカレーとプラオ(スパイス炊き込みご飯)とサラダを作ってもらって持ってきたらすごく喜んでくれた。こんなにおいしいカレーは人生で初めて食べたって。とてもうれしかったよ。

■最近TVやラジオ、新聞などで見た・聞いた日本のニュースは何ですか?

モディ首相が日本に行ったことかな。僕が日系企業に働いているからかもしれないけどインドではビックニュースだと思う。様々な状況が整って、日本の会社や日本人がもっとインドに来るような流れが期待できるいいニュース。日本の人はインドの治安を不安に思っている人もいるけれど、ここ数年日本人が重大な事件に巻き込まれたことはほとんどない。なぜかというと、みんな日本人をリスペクトしているし、経済面での期待も大きいんだと思う。

■休日の過ごし方を教えてください。

月に4回、日曜日が休み。休みの日は家族と料理をつくったり、買い物にいったりして過ごしているよ。

■将来の仕事や生活の展望は?

日本の会社で働くことは本当に勉強になる。仕事の仕方がインドの会社と全然違うんだ。すべてがシステマチックで、僕がITのプロフェッショナルだからかもしれないけど、働いていてストレスを感じない。これからも日本の会社でずっと働いていきたい。たとえ会社が変わったとしても日本の会社でね。