歴史的に中国大陸などとも国交があった福岡県。「福岡さんが多いのは福岡県」と思いきや、実は全国平均よりもずっと少ないようだ。そんな福岡県に多い名字をランキングしてみた。
福岡県らしさが現れた「古賀」姓
福岡県で1番多い名字は「田中」さんで、福岡県にはおよそ9万2,000人の「田中」さんが住んでいる。「田中」姓の語源は、田の中に居住して四方の田を管理・占有していた人が名乗ったことにあるという。
また、水田の開発は文化の発展した地方から進んでいったと考えられており、中国大陸や朝鮮半島との交易で古代から栄えていた福岡県に、「田中」姓を名乗る人が多く現れたという説もある。なお、現在では全国でも4番目に多い名字となっている。
2位は「中村」さん。福岡県の人口ではおよそ6万人だった。「中村」姓は、小さな村が発展して大きくなり、やがて分村ができた時に元々あった村である本村を「中村」と呼んだところにルーツがあると言われている。「中村」さんの全国順位は8位であり、福岡県の他に石川県と熊本県でも2位にランクインしている。
3位は「古賀」さんで、およそ5万2,000人の「古賀」さんが福岡県に在住。「古賀」さんの全国人数はおよそ10万2,000人なので、50%以上が福岡県民ということになる。現在の佐賀県と長崎県にあたる肥前の大族・狛姓古賀族や帰化族の劉姓古賀氏が、筑後国三潴郡古賀村に移って「古賀」を称したともいわれ、「古賀」姓は福岡県など九州北部に多い名字となっている。
「福岡」姓のルーツは兵庫県!?
全国順位では100位以下であっても、福岡県ではベスト30以内の上位にランクインした名字もある。それが、3位の「古賀」さん(全国順位221位)、20位の「石橋」さん(全国順位186位)、28位「野田」さん(全国順位155位)。各名字の日本国民に対する福岡県民の割合は、「古賀」さんがおよそ51%、「石橋」さんがおよそ16%、「野田」さんはおよそ12%となっている。なお、福岡県生まれの有名人には、バルセロナオリンピックの柔道金メダリスト「古賀稔彦」さん、ブリヂストンの創業者「石橋正二郎」さんなどがいる。
福岡県にみられる珍しい名字もチェックしてみよう。例を挙げると、「笠(りゅう)」さん、「八尋(やひろ)」さん、「五郎丸(ごろうまる)」さん、「不老(ふろう)」さん、「留守(るす)」さん、「妻夫木(つまぶき)」さんなどがあり、実際に俳優の「妻夫木聡」さんは福岡県の出身だ。
県名と同じ「福岡」さんは、福岡県におよそ1,100人いる。全国順位は411位だが、福岡県ではやや下がって719位。「福岡」姓のルーツは現在の兵庫県北部である但馬国七美郡福岡村や、現在の岡山県東部の備前国邑久郡福岡などとされているので、特に福岡県に「福岡」さんが多いということではないようだ。
ちなみに「福岡県」の名前は、今話題の「黒田官兵衛」の嫡男である「黒田長政」がキーパーソンのよう。黒田長政は関ヶ原の戦いの後に当時の筑前国を与えられ、黒田家に縁がある備前国邑久郡福岡の地名を取り、「福岡城」「福岡藩」と名づけたと言われている。
福岡県の人口は509万人(平成25年10月1日現在 総務省統計局調べ)であり、今回ランキングの上位5位(田中さん、中村さん、古賀さん、井上さん、山本さん)の人数を合計するとおよそ29万2,000人となる。全国におけるこの5つの姓の人数は合計でおよそ431万8,000人であるため、これらの名字の方々のおよそ7%が福岡県民という計算になる。
※ランキングは、月間400万アクセスの「名字由来 net」アプリと「名字由来 net(Web)」の名字データベースから、電話帳データをもとに福岡県で実世帯が確認できるもののみを集計し、人数の多い順に抽出。100人未満四捨五入により算出している。本文と写真は関係ありません
筆者プロフィール : 名字由来 net(リクルーティング スタジオ)
月間400万アクセスの「名字由来 net(アプリ・Web)」や月間200万アクセスの「無料 赤ちゃん名づけ」アプリなど、名字・名前・家系図に特化したサービスをアプリとWebで提供している。「名字由来 net」はApp Store 総合第1位200万ダウンロード、「無料 赤ちゃん名づけ」は App Store ジャンル第1位の実績。2014年5月には、名字情報を生かしたシミュレーションゲームアプリ「戦国村を作ろう」をリリースした。