女優の市川由衣が主演を務める映画『海を感じる時』が、今月13日から公開をスタートした。過激なラブシーンが必要不可欠だった本作。オフィシャルブログでは、マネージャーがその出演の経緯、作品に込めた思いをつづっている。

映画『海を感じる時』で主演を務める市川由衣 撮影:大塚素久(SYASYA)

原作は、作家・中沢けいが18歳の時に応募し、1978年第21回群像新人賞を受賞した同名小説。愛を知らない少女・恵美子(市川由衣)が一人の男性・洋(池松壮亮)と出会い、大人の女性へと目覚めていく姿を描いている。市川にとっては、2006年の『サイレン ~FORBIDDEN SIREN~』以来、8年ぶりの単独主演作。数々の作品に出演してきた市川だが、これだけ濃厚なラブシーンに挑んだのは初めてだった。

昨年の3月に現在のマネージャーが担当になり、以来、市川のブログは、本人とマネージャーがそれぞれ更新している。13日付のマネージャーの投稿は「今回は、思いの丈を書きたいと思います」にはじまり、出演が決まるまでの経緯、そして初号試写で涙を流した理由など、市川への愛情あふれる内容がつづられている。

昨年の3月に担当になり、マネージャーが真っ先に気になったのは「話の節々から、年をとることを恐れているのでは? ということ」。その理由を「多分、10代の頃から仕事をしてきて、年を重ねるごとに、10代の時に求められていたことが、求められなくなってきて、でも、市川由衣=清純派の可愛い女優さん。というような固定されたイメージに、がんじがらめになっているような気がしました」と分析する。

「市川由衣というイメージを覆すような役をいつかやらせたい!」と映画関係者にアピールしていた矢先、本作のオファーが舞い込んでくる。またとない機会に、「うちの会社で、ここまで激しい作品をやっている人も居なかったので、、大丈夫かな?」という不安もあったが、何よりも台本を読んだ時の衝撃が忘れられなかったという。

「『脱ぐのが嫌だったら、この作品のためにならないから、お断りしよう!』的なことは伝えました」と選択肢を与え、あとは本人に委ねた。そして、安藤尋監督とプロデューサーらと面会した上で、最終判断することに。マネージャーはその時のことを「凄く緊張感溢れる会合で、、私も、大切な女優を守らないといけない立場なので、今思うと、、とても失礼なことを監督に言ってしまったかもしれないです…」と振り返り、真摯に語る安藤監督の姿で不安は解消。本人との話し合いでも「安藤監督なら、繊細に恵美子の気持ちを映し出してくれる!!」と納得し、出演が決まった。

そして、2人は初号試写で号泣する。「今まで、他のタレントも含め、どんな作品の試写よりも緊張していて、安心しての涙だったかもしれないですが、、それ以上に、女優、市川由衣が誕生した瞬間を見たことに感動したんだと思います」とマネージャー。「もう年を重ねることに恐れることは何もないよ!と由衣に伝えたいなーと。30、40代…となっても、女優で居られる門を開いた作品になったような気がします」と市川にメッセージを送り、「私も、今後、どんな作品を由衣にやってもらうか、かなりのプレッシャーですが、、1つ、1つの作品に責任をもって、取り組んでいきたいと思います」と意気込みをつづっている。

昨年からオーディションにも積極的に参加するようになり、ドラマや映画、舞台などさまざまな作品に出演している市川。今月に行ったインタビューでも、市川はその転機を「マネージャーが代わったこともいいきっかけになったのかもしれません」と語り、「おかげさまで、最近は自分がやりたい作品、一緒にお仕事をしたい監督もできるだけ伝えるようになりました」と笑顔を見せていた。

(C)2014「海を感じる時」製作委員会