くりぃむ幻のコンビ名、太田光の前戯

そのユルさは制作スタイルにも表れている。「台本は何にもないです。ディレクターが口頭で『来週はここへ行きます』というだけ。ペラ1くらいはあるけど、2人のやり取りなんて当然書いてないし、スケジュール確認程度のものですね。演出も特になし。こっちは線路を敷くだけで、あとは『勝手に脱線してくれ』という感じ」と実にあっさりしたもの。要は2人という良い素材があるのだから、ヘタな料理はしないということなのだろう。

さすがと感心したのは、「あの2人で撮れ高(番組に必要な映像の量)がショートすることは絶対にありません。昼ごろから撮りはじめて終わったらみんなで飯食って帰ります」とのこと。つまり、スケジュールを地上波の番組同様にしっかり空けてもらっているが、内容が濃いから食事して帰れるくらい余裕があるのだ。

第1回放送のトークで印象的だったのは、上田が「コンビ名が『島原火砕流・土石流』になりそうだった」と話したり、太田が桑田佳祐に送った"前戯"の仕方を延々話したり、際どいネタが全開だったこと。その後も太田がゲストのアンタッチャブル・柴田英嗣に「お前出所したのか?」、B級ニュースの話で「あげまん慶子」を連呼など、もう言いたい放題だった。

視聴者としては、"使う、使わない"の判断が気になるが、"ガースー"にしてみたらその線引きは明快。「下ネタだから使えないということはないし、『ここでこの言葉が出てくるのはしょうがないよね』ってのが伝わればいいけど、見ている人が得しないことをアプトプットしても仕方ないですから。それが楽屋オチのようになってもつまらないし」という。

ますますエスカレートしていきそうな今後について尋ねると、「もともと太田くんはあまりにも趣味がないから、『最終回までに趣味を見つけよう』という裏テーマがありました。いろいろぶつけるけど、何にも興味を示さないんですよ。彼は昔からそうで、『ゴルフをやろう』とクラブを買いに行こうとしたけど、相方の田中(裕二)くんがはじめちゃったから『もうやらない』って。仲が悪いんじゃなくて、相方と常に緊張関係でいたい場合は、『同じ趣味があるとかえってよくない』という考え方もありますから。くりぃむとか、おぎやはぎは本当に仲がよくて2人ともゴルフをやってるというコンビもいますけどね。年も年だし、体動かすのもいいかなと思っています」という"ガースー"が太田にどんなスポーツを提案するのか、ちょっと楽しみだ。