帝国データバンクは11日、「営業秘密に関する企業の見解についての調査結果」を発表した。同調査は8月18日~31日の期間で実施し、全国の企業1万1,023社より回答を得た。

「営業秘密の漏洩について、自社の見解としてどのように考えているか」を尋ねたところ、82.3%の企業が「重要である」と回答した。他方、「重要ではない」は12.3%、「分からない」は5.4%となった。 業界別にみると、営業秘密の漏洩に対する重要性を最も強く認識しているのは「金融」(89.5%)であった。次いで、「サービス」「製造」「卸売」が続き、最も割合が低い「農・林・ 水産」においても7割を超える結果となった。

「重要である」と回答した企業の規模別・業界別割合

「過去5年間での営業秘密の漏洩事例の有無」を尋ねたところ、「漏洩事例はなかった」と回答した企業は75.8%であった。一方、「漏洩事例があった」は1.7%、「漏洩と疑われる事例があった」は7.8%と、全体の約1割の企業で営業秘密漏洩の疑いのあることが明らかとなった。

業界別では、「金融」が最も高く、「小売」「不動産」「農・林・水産」「卸売」が1割を超えた。また、「小売」では、「家電・情報機器小売」や「自動車・同部品小売」などが高かった。

企業からは「営業社員の引き抜きにともない営業担当の得意先が一部流れた」(繊維・繊維製品・服飾品卸売)や「独立をすることが多い業界なので顧客はある程度流出する」(不動産)など、転職や独立を機に情報を持ち出されることで漏洩したという声が多く挙がった。

「漏洩の疑いあり」の規模別・業界別割合

自社の保有する情報について、「営業秘密の漏洩防止に取り組んでいるか」を尋ねたところ、「取り組んでいる」と回答した企業は半数にとどまった。取り組み状況は企業規模により異なり、「大企業」は 67.3%が取り組んでいるのに対し、「小規模企業」は 37.8%で「大企業」を 29.5 ポイント下回っている。

企業からは、「どうしたらいいのか、良くわからない」(玩具・運動用具製造)や「現状では、営業秘密管理に取り組むだけの人的・金銭的リソースが無く、やりたくてもできないのが実情」(建具製造)など、営業秘密の漏洩防止に対する重要性を認識しつつも、規模が小さくなるほど取り組む余裕がない状況にあることも明らかになった。

営業機密の漏洩防止に対する取組状況

「営業秘密管理の具体的取り組み」については、「情報の管理方針等の整備」が 37.5%で最多となった。続いて「従業員や役員、取引先などとの秘密保持契約を締結」(36.6%)、「データ等の持ち出し制限を実施」(33.7%)、「営業秘密とそれ以外の情報を区分」(28.2%)、「データ等の暗号化・アクセス制限の実施」(22.9%)などが上げられた。

結果の詳細は同社Webサイトより確認できる。