最近、フルーツビールがはやっているらしい。ビールが苦手な女性を筆頭に、「おいしすぎ!」のツイートでSNS上を賑わす人が続出。さらにはあまりのフィーバーぶりに、商品の魅力や、様々なラインナップを堪能できる店を“0まとめ”はじめる人まで出る始末。一体どうしてそんなに人気なの?

池袋「Beer Pub CAMDEN(ビア パブ カムデン)」でも大人気! Lindemansのフルーツビール5種(いずれも税抜810円)

来たれ東京中のビールファン! 各国のマスターピースをそろえる池袋の名店!

人気の秘密を探るべく訪れたのは、池袋駅東口徒歩2分の好立地に店を構える「Beer Pub CAMDEN(ビア パブ カムデン)」(以下、「カムデン」)だ。

同店は、イギリス、アメリカのクラフトビールを数多く取りそろえる店で、ほぼ日替わりの樽生ビールは常時6種類、世界各地から厳選されたボトルビールは常時50種類用意。トラディショナルなものからニューウェイブ系の一杯まで、幅広く楽しむことができる。

カムデンの仲良しスタッフの面々。お客さんに対してもこんな感じでお店はとってもアットホーム★

さらに、スタッフのビール愛にも並々ならぬものがあり、東京中から集まるクラフトビールファンの客からいかなる要望や質問が繰り出されようと、全力で応じてくれる。

「今までにない苦みを味わってみたい!」の声に応えて供されるのは、驚異のIBU(苦味指数)を誇る「Mikkeller 1000 IU」。一般的IPAのIBUは40~60程度ということを説明しておくと、この数値がいかに驚くべきものであるかお分かりいただけるだろう。

また、「ビールをよりおいしく感じられる料理が食べたいの♪」の声には、バンズ開発から挑んだ店ご自慢のハンバーガー各種や、創業当初からの人気メニュー「シメサバ竜田&チップス」(810円)で応戦する。

バンズは池袋の手作り工房「ベッカーフジワラ」との共作! 搬入時にはお店中にいい香りが漂う

ワインやシードルみたいにおしゃれなビール★

そんなビール愛に溢れた同店で、「ビールが苦手な人にもビールのおいしさを堪能してほしい」との想いから取りそろえているのが、Lindemans(ベルギーの「リンデマンス醸造所」)のフルーツビール5種である。

「フルーツビールは、通常のビールのように人工培養された酵母を使用することなく、自然にある野生酵母を利用して発酵させる、ベルギーの伝統的なビールなんです。独特な製法によって、ワインやシールドのような酸味を感じられるビールに仕上がっているので、カクテル感覚で楽しむことができるんです」

教えてくれたのは、同店代表の伊藤瑞希さん。伊藤さんによると、Lindemansのフルーツビールは、その爽やかな酸味ゆえ、料理と合わせるよりも単体で楽しむのがおすすめだとか。「合わせるなら、ドライフルーツやチーズケーキなんかのデザートがいいですよ」。

なんとおしゃれな飲み方! これも、女性に人気が高いという理由のひとつかもしれない。

そもそも伊藤さんのおしゃれ度が高い

「召し上がれ」の笑顔もステキ!

さて、注いでいただいたLindemansを味わってみようと口に近づけるや、鼻先をくすぐるのはなんとも甘美な果実の香り。

「煮沸された麦汁にフルーツを漬けこんで作っているから、香りもとってもいいですよね」と話す伊藤さんのお気に入りは、桃のやさしい香りを漂わす「ペシェ」とのこと。グラスを満たす透き通った黄金色もそれはそれは美しく、口にすると喉の奥まで爽やかな気分でいっぱいになる。

「ペシェはボトルデザインもかっこいいんですよ。“ジャケ買い”したくなっちゃいますよね?」と笑顔をみせる伊藤さんの様子から、本当にこの一本が好きなことが伝わってくる。

さらに、真紅色が目にも鮮やかな「フランボワーズ」、芳香な香りと、酸味と甘味の絶妙なバランスに心を鷲掴みにされる「カシス」、りんごの甘酸っぱさと爽快感を満喫できる「アップル」、世界的ビール評論家も愛したといわれる「クリーク」(チェリー)など、色も香りも異なる5本がそろい、どれから飲むか迷ってしまうこと必至だ。

「人気はペシェとクリークですね。クリークは色もキレイだし甘い香りが強いので、『こんなビールもあるんだ!』ってビールに対するイメージが変わると思いますよ」。確かに、こんなビールならドレスアップして参加する華やかなパーティにだって似合いそうだ。

さらにいうなら、フルーツビールを好きになったことがきっかけで、ビールそのものへの好奇心が高まる人だっているかもしれない。

「僕はビールのいいところは、『毎日飲みたくなる』ってことだと思うんです。仕事が終わったあとに好きな一本を楽しむのもいいし、料理と合わせてもおいしいでしょう? それに本当にたくさんの種類があるから、その日の気分で“今日の一杯”を決めるのも楽しいんです。気軽に楽しめるものでありながら奥が深い―それこそがビールの魅力ですね」

伊藤さんをはじめカムデンのスタッフたちと会話していると、自然とビールへの関心が深まっていくから不思議。知らず知らずのうちにビールの奥深さにすっかり魅了され、いろんな味を知りたいと思い始めるのだ。フルーツビール目当てで来店した人も、きっと私と同じ道を辿ることになるだろう。

余談だが、実は同店は「もやしもん」作者もお気に入りとのこと。

世界中から集まった酵母菌たちに“かもされたい”人も、フルーツビール未体験の人も、ぜひ同店で至福のひとときをお過ごしあれ。

店内壁に描かれた石川雅之さんサイン。隣は“ビール伝道師”として知られるイラストレーター・藤原ヒロユキさんのもの