三菱重工業は、米国ボーイング社がボーイング787型機向け複合材主翼を現状の月産10機から14機に増産する計画に対応し、下関造船所(山口県下関市)と名古屋航空宇宙システム製作所(名古屋市港区)の複合材主翼生産設備の増強投資を実施する。
月産10機から14機に対応できる設備を
三菱重工業は10月に、補強用部材である複合材主翼のストリンガー(縦通材)を製造する下関造船所の航空機工場、複合材外板の製造、組み立てを行う名古屋航空宇宙システム製作所大江工場の設備増強にそれぞれ着工。2016年からの増産を目指している。
下関造船所では航空機工場を拡張し、複合材を積層した後に高温高圧で焼き固めるオートクレーブ(複合材硬化炉)等を増設する。名古屋の大江工場では、複合材主翼の主要部品である外板を製造する複合材工場に複合材テープを積層する自動積層機等を増設、主翼組み立てを行う組み立て・塗装工場を拡張。自動穴あけ機や塗装ロボット等を、順次改修・増設していく。
三菱重工業は787型機の複合材主翼の生産を担当しており、2007年5月に787-8型機の主翼を初出荷して以来、順調に生産に取り組んでいる。今後も787型機向けの生産能力増強、高品質の複合材主翼の供給を通じて787型機のプロジェクトの一翼を担い、民間航空機事業の拡大につなげていくという。