整備された登山道もあるため、初めての登山に富士山を選ぶ人もいるが、それは準備が整っていることが前提だ。準備をしていない人にとっては、富士山は命の危険が伴うほどの山になる。防寒着などに関しては前回の記事を読んでいただくとして、ここでシューズや持ち物にターゲットを絞って紹介していく。
登山靴は足を守るプロテクター
ほぼすべての登山用アイテムが「軽量」となっている現在、登山靴もまた軽量なものが人気となっている。軽量タイプはゴツゴツした従来の登山靴よりも通気性が高く、足首が曲げやすいというメリットがある。しかし、あまりに「軽量」だけを追い求めると、本来の「足を守る」というところがおろそかに。実際に富士山は整備された登山道もあるが、8合目からは岩場を歩かなければいけない。
つま先を守るプロテクションがついていたり、足首を守れるミドルカット以上のものにしたりなど、極端な「軽量化」には気をつけて、相応の機能をもつものを選びたい。ランニングシューズでの登山はケガなどのトラブルの原因にもなるので、しっかりした登山用のシューズを準備しよう。
また、足元のアイテムとしてオススメなのが登山用のスパッツ。シューズの中に雨や砂利の侵入を防いでくれるので、ぜひ活用したい。登山用スパッツには冬用のものもあるが、富士登山には夏用の短いタイプが涼しくて快適だ。加えて、厚手の靴下はクッション性や保温効果もあるため、登山用の靴下を用意しよう。
バックパックには容量以外にもサイズがある
どれくらいの大きさのバックパックにするかはその人の荷物の量にもよるが、山頂での寒さ対策や山小屋宿泊時の防寒具も含めると、30~40L程度の容量は必要になる。そのものの軽さも重要だが、実際に背負ってみて身体にフィットするものを選ぶようにしよう。
また、あまり知られていないが、バックパックには容量以外にもサイズ基準がある。"バックレングス"と言われるもので、その数字が大きいものほど縦長になる。つまり、自分の身体に合ったバックレングスのものを選べれば、同じ容量でもより身体にフィットして使いやすバックパックになる。
雨に降られることが多い富士登山では、バックパックにかぶせるザックカバーは必須のアイテムと言える。せっかく防寒着や着替えを準備しても、雨でぬれてしまっては台なしだ。バックパックによってはザックカバーが付属されている場合もあるので、バックパックの付属品を今一度確認していただきたい。
登山はカロリー消費の激しいスポーツ
"行動食"とは登山しながら食べる食料のこと。登山は激しくカロリーを消費するので、チョコレートやキャラメル、羊かんなど、カロリーや糖質の高めのものを準備するとよい。また、かいた汗で体内の塩分が不足するので、梅干しや塩あめなども行動食として適している。
ストックを使えば下りも快適に
「ストックは中高年の人が使うもの」という認識は昔の話。現在のストックはデザイン的にもおしゃれで、しかも軽量なものが増えており、世代を超えて愛用されるアイテムになっている。携帯しやすい折り畳み型のものが多いので、使わない場合はバックパックに入れておくこともできる。富士登山の場合は、8合目から上は岩場が多く使用できないが、下山の際には膝や腰などへの負担を軽減してくれるので、積極的に使いたい。
前回紹介した防寒ウエア編と合わせて、以下に富士登山で最低限必要なもののチェックリストを記載した。このほかにもウエットティッシュやカメラなど、富士山でどんな行動をするかを想像しつつ、持ち物を精査するといいだろう。
なお、登山アイテムはレンタルをするという選択もある。例えば、アウトドアギアレンタル「そらのした」は、吉田ルート五合目にレンタル受付・返却ができる店舗も展開しており、1点レンタルのほかセットでのレンタルもある。ただし、硬い登山靴は足に合っていないと靴ずれしてしまうこともあるため、自分が履き慣れた登山靴を使用した方が無難である。
身に着けるものチェックリスト
・速乾性の素材を使った半袖や長袖のシャツ
・乾きやすいストレッチ素材の長ズボン
・フリース(可能であれば薄手と厚手のものを2種類)
・ウインドブレーカー、もしくはレインウエア(上下)
・帽子(キャップ、ハットなど)
・手袋(軍手でも可)
・ストック
・登山靴
・スパッツ
・厚手の靴下
・紫外線対策(サングラスなど)
・砂ぼこり対策(マスクなど)
バックパックに入れるものチェックリスト
・行動食(登山中に食べるチョコレート、キャラメル、スナック、梅干しなど)
・水・飲料(ボトルなどに入れて携帯する、山頂の寒さ対策にホットもあると◎)
・日焼け止め
・ヘッドライト
・タオル
・お金(トイレにも使うため小銭を多めに)
・ザックカバー
・携帯電話
・時計
・ウェットティッシュ
・ゴミ袋
※本文と写真は関係ありません