CS放送フジテレビONE・TWO・NEXTで全国の高校生を対象に脚本募集した第1回「ドラマ甲子園」の受賞作品が発表され、福井県在住の青山ななみさん青山ななみさん(17)が『十七歳』で大賞を受賞した。

第1回「ドラマ甲子園」で大賞を受賞した青山ななみさん

第1回となる今回は、昨年11月から2月末まで多くの作品が寄せられた。大賞を受賞した『十七歳』は、田舎の高校に通う17歳の男子生徒・安藤ハジメが美術非常勤講師・水沢ヒカリに恋心抱く物語。17歳らしい恋心に触れるうちにヒカリも次第にハジメを受け入れはじめ、2人は「安藤をモデルに絵を描く」という名目のもと、夏の午後を過ごすようになる。一方、ハジメの幼なじみ・アカリはハジメへの成就しない片思いに苦しみ…。今後は、プロのスタッフによるサポートのもと青山さん自ら演出。プロの俳優たちの出演でテレビドラマ化される(8月放送予定)。

「自分にとって初めての脚本作品でしたので、受賞の知らせを頂いた時は、素直に信じることが出来ず、無意識のうちに手が震えていたことを覚えております」と受賞の瞬間を振り返った青山さん。「受賞の知らせを、まるで自らのことのように喜んで下さった先生方、かけがえのない友人たち、傍で支えてくれた家族、そして、『十七歳』にこのような賞を与えて下さった審査員の皆さまに、深く感謝致します。有難う御座いました」と感謝の言葉を寄せた。

『十七歳』については、「物語ばかり書いていたものですから、最初のうちは『ト書き?』『ハコ書き?』というように、右も左も分からない有様でした」と苦労しながらも、「自分なりに脚本の書き方を学び、まるで熱に浮かされたように書き続けて出来上がった」と渾身の作品に。「小学二年生の時に文章を書く楽しさを知り、それからずっと、執筆することへの喜びを感じてきましたが、今回この賞を受け、執筆への喜びはより一層と増したように思えます」と青山さんにとっては貴重な機会となった。

選考委員長の執行役員総合開発局長・清水賢治氏は「圧倒的な存在感。これが選考委員全員の共通した意見です。人物造形、瑞々しい描写、構成、すべてにおいて最も完成度が高い脚本でした。行間から映像イメージが静かに浸透してくる、淡々としていながら読む人を魅了する不思議な作品です」と選考理由を説明。「梗概(こうがい)からして上手で、ここで謎ふりをしているので、ラストまで一気に読了しました」と絶賛し、「このような単純な話はストーリーで押すことができないので筆力がものを言います。そういう意味でも剛腕な作家になる予感がします」「才能的には間違いなく一流になれる素材」と今後の活躍に期待を寄せている。

そのほか、佳作は兵庫県在住・丸山美海さんの『爆音依存症!!』、宮城県在住・鈴木あかりさんの『閃光アーケード』が受賞した。