これからさらに暑くなってビールがおいしい季節の到来ですが、最後まで飲みきれずに残してしまうことはありませんか? また、買いだめしたビールをどこに保管しようか迷ってしまうことも……。

そこで今回は、『うまいビールの科学 注ぎ方によって味が変わるって本当?黒ビールとふつうのビールの違いはなに?』(サイエンス・アイ新書/ソフトバンククリエイティブ刊)の著者でもある、"ビール博士"ことキリン広報担当の山本武司さんに、ビールをおいしく飲める保存方法と、やむをえず残してしまったビールを捨てずに活用できる裏ワザを教えていただきました。

(画像は本文と関係ありません)

炎天下に長時間置きっぱなしはNG!

――ビールを保存する際、どのようなことに気をつければ良いですか?

山本さん「日光を避ける、高温・低温の場所に置かない、塩分・油に注意、強いショックを与えないの4点です」

――それぞれについて詳しく教えてください。

山本さん「まずは直射日光を避けること。ビールは日光に弱く、臭いや味が変わってしまうのです。これからの季節は屋外でビールを楽しむ機会も多いと思いますが、強い陽射しを浴び続けると、中身の温度が上がり内圧が上昇して、容器が割れることもあります。

また、温まった瓶ビールを冷蔵庫で急に冷やすと、瓶が割れる恐れもありますので気をつけてください」

――高温・低温の場所に置かないというのはどういうことですか?

山本さん「今お話ししたように、容器が破損する危険があります。また、高温の場所に長時間置くと、味のバランスを崩し、濁ったり変色したりします。3度以下の低温状態に長時間置いた場合も同様に濁りが発生します」

塩や醤油の近くで缶ビール保管は厳禁!

――ほかにも、保管の際に注意したほうがいいことはありますか?

山本さん「アルミ缶は、塩や醤油の近くに保管すると金属が腐食し、穴があく危険があります。また、瓶を漬物や灯油などのそばに置くと、においが移ることがあります。そうしたものから遠ざけて保管するようにしてください」

――ショックを与えるのもNGということですが……。

山本さん「激しくゆすったり倒したりすると、開栓時に泡がふきこぼれて、早く気が抜けてしまいます。またガラス瓶は小さな傷でも強度が落ちますし、アルミ缶の場合は破損の原因になります。やさしく扱うようにしましょう」

冷凍庫はダメ、ゼッタイ!

このほか、ビール博士によると瓶や缶を凍らせるのは絶対にやめてほしいということでした。内圧が上がり、容器の破損・破裂を引き起こす可能性があるためです。冷凍庫に限らず、冷蔵庫でも吹き出し口付近やチルド室冷気が直接あたる場所は中身を凍らせる恐れがあるので注意してほしい、とのこと。

確かに記者も、ぬるくなってしまったビールをすぐに冷やしたいと思ったときに、短い時間冷凍庫に入れてしまったことがあります。思わぬケガを招く可能性がありますので、注意しましょう。

<こんな場所にビールを保管しちゃダメ! 3カ条>
・炎天下、車のダッシュボードなど、直射日光が当たったり高温になる場所はNG!
・冷凍庫など低温になる場所はNG!
・塩、醤油などの隣はNG!

残ったビールの裏ワザを教えて!

保管方法がわかったところで、余ってしまったビールの有効な活用法についてもたずねました。ネットで出回っている方法や、記者が個人的に知っている裏ワザなどについて、その真偽のほどをビール博士に伺いました。あなたはいくつご存知でしたか?

――「ビールを料理に入れると味が良くなる」は本当ですか?

山本さん「ビールに肉を漬けこむと、肉がやわらかくなり、風味がよくなります。ただし、風味がかなり落ちたビールをお使いになると料理の味に影響することもありますから、開栓後、時間の経っているビールは使わないほうが良いでしょう」

――「漬物づくりに一役買う」という情報もありましたが?

山本さん「ビールをぬか漬けのぬか床に入れるというのはアリですね。ぬか床に水のかわりに入れていただくと風味が増すとも言われています」

――料理以外にも活用方法があれば教えてください。

山本さん「余ったビールは植木の肥料に使えます。ただし、虫が寄ってくるといけませんので、少し土を掘ってから1カ所に流し込み、上から乾燥した土をかぶせてふたをするようにしてください」

――ありがとうございました!

これからは上手にビールを保管しておいしく飲み、余ったものは賢く利用したいですね。