人は、一生のうちでさまざまな心と身体の変化を迎えます。中でも「性欲」は一生のうちに波があり、男女差も個人差もあるデリケートな部分。なかなか人には聞けない話ですが、男女の「性欲」についてお話しします。

女性の性に影響するホルモンは20歳代~40歳代までピークが続く

女性の生殖活動に影響する女性ホルモンの1つに、エストロゲンがあります。女性は生まれた時から卵巣などの生殖器は整っていますが、まだホルモンを分泌できるほどは発達していません。およそ8~10歳でやっと卵巣からのエストロゲンの分泌が始まるといわれ、その後エストロゲンの分泌がある程度増えると、卵巣がしっかり働き始めて初潮を迎える人が多くなります。その後エストロゲンの分泌量はどんどん増え、20歳代後半~30歳代前半くらいにエストロゲン分泌量のピークを迎えます。エストロゲンは女性の身体を魅力的にし、性欲も司る役割を持っています。

また、実は女性の体内では男性ホルモンも働いています。男性ホルモンの1つであるテストステロンは、男女ともに性欲や性衝動を起こす役割があるとされています。女性のテストステロンは20歳代に高まった後、40歳代を過ぎてもある程度の分泌量が続きます。つまり、10代後半ごろに芽生え始めるといわれる女性の性欲は、これらのホルモンの働きが最も活発になる18~45歳くらいがピークなのかもしれません。

男性の性欲を司るホルモンの分泌は10代がピーク

男性の体内で分泌されるテストステロンは、思春期を迎える10代から急激に増えていきます。そして少年から大人の男へと体つきを変え、攻撃的で男らしい性格を形作ります。中高生の男の子たちがセックスの話題に興味しんしんになりがちなのも、テストステロンの分泌がピークに達しているからなのでしょう。身体ができあがった20代を過ぎてからは、分泌が徐々に減っていきます。

10~20代でピークを迎える男性と、30~40代まで続く女性。性欲はホルモンだけでなく、脳の働きや心理的な要因なども関係するので一概にはいえませんが、男女が性欲を感じる時期には少しズレがあるようですね。

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善方裕美 医師

日本産婦人科学会専門医、日本女性医学会専門医
1993年高知医科大学を卒業。神奈川県横浜市港北区小机にて「よしかた産婦人科・副院長」を務める。また、横浜市立大学産婦人科にて、女性健康外来、成人病予防外来も担当。自身も3人の子どもを持つ現役のワーキング・ママでもある。

主な著書・監修書籍
『マタニティ&ベビーピラティス―ママになってもエクササイズ!(小学館)』
『だって更年期なんだもーん―なんだ、そうだったの?この不調(主婦の友社)』
『0~6歳 はじめての女の子の育児(ナツメ社)』など