年収1000万円といえばお金持ちイメージだが……

年収1000万円といえば、ステータス年収として考えられてきた。しかし、実際は年収1000万になったとしても「生活は苦しいまま……」という声を聞く。それはなぜなのだろうか。ファイナンシャル・プランナーの村松祐子さんに解説していただく。

1,000万円超の給与所得者はわずか3.8%

最近、ニュースでよく見かける「年収1000万円以上」の文字。労働時間ではなく、成果に応じた賃金を払う新制度「ホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間法制の適用除外)」に絡んだ報道が続いています。では、年収1,000万円以上の人はどれくらいいるのでしょうか。

「民間給与実態統計調査」(国税庁)によると、平成24年分の構成比で、1,000万円超の給与所得者は全体のわずか3.8%(男性5.8%、女性0.8%)となっています。給与所得者数及び税額を給与階級別に見ると、1年を通じて勤務した年間給与額800万円超の給与所得者は365万人で、全体の給与所得者の8.0%にすぎませんが、その税額は合計4兆2,108億円で全体の57.7%を占めています。

一般的には、高収入と言われるこの収入層の会社員。税金や社会保険料を加味すると、収入1,000万円に届く以前より、所得が増えたという実感があまり持てないという人が少なくありません。というのは、税額などの負担が増えたことで可処分所得(※)が額面ほど増えていないためと考えられます。

また、児童手当の縮小による負担増が相対的に重くなっているのも、この収入層。年収960万円程度以上の世帯は、児童手当の支給額が減額(原則月1万円(3歳未満は1万5,000円)が5,000円に減額)となっています。ただし、児童手当の所得制限は、共働きに有利に設定されているため、夫婦それぞれ年収500万円の場合は、世帯収入が1,000万円あったとして、所得制限の対象にはなりません(夫婦のうち多い方の年収が960万円程度以上の場合に、児童手当は所得制限により減額になります)。

さらに、平成26年度の税制改正大綱では、所得税・住民税の給与所得控除について、特に高所得の給与所得者を対象に、段階的に縮小を行うこととしています。

所得税の給与所得控除は、平成24(2012)年分までは上限がなく、給与収入が年間1,000万円を超える場合でも、給与収入が増えるとその5%が給与所得控除の増加となっていました。平成25(2013)年分より、給与所得控除の上限は245万円となり、年収1,500万円超の場合、給与収入がいくら増えても給与所得控除は245万円で打ち止めとなっています。この245万円の上限を、平成28(2016)年分の所得税から230万円に、平成29(2017)年分の所得税から220万円に縮小する計画となっています。給与所得控除が上限に達する年収も、平成28(2016)年分より1,200万円、平成29(2017)年分より1,000万円へと順次引き下げられます(出典: 税制改正大綱)。 

すなわち、年収が1,000万円を超えて稼げば稼ぐほど、税負担が重くなることになるのです。

ただ、所得税は個人単位の累進課税。そのため、片働き世帯では、年収1,000万円を得ていると所得税率が高くなりますが、共働きにより夫婦がそれぞれ年収500万円の場合は、それぞれに所得税率が適用されるため税率は低くなります。同じ世帯年収1,000万円であれば、片働き世帯より共働き世帯の方が税負担は少なくなると言えるでしょう。

※可処分所得: 税引き前の給与収入から、所得税、住民税、社会保険料を差し引いた金額。手取り金額。

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