本格的な暑さがやってきました。季節はもう夏です。

高校3年生が受験勉強のために夏を純粋には楽しめないのと同じように、就活生も就活の開始は冬だといえど、18度設定のクーラーが効く部屋でガリガリくんをむさぼるだけのふ抜けた夏を送ることはできません。なぜなら、インターン(正式にはインターンシップ)の影が見え隠れするからです。

インターンシップとは何ぞや

インターンは広く浸透しました。

しかし、「よく聞くけど、どんなものなのかはよく分からない」という方も多いのではないでしょうか。インターンは企業によって形態がさまざまのため、事前に理解しておかなければ

「思ってたのと違った」
「バイトしてたほうがよかった」
「合コン、キャンセルしたのに……許さん!」

と、怒りの矛先を見失うことにもなりかねません。

そもそもインターンとは何を指す言葉なのでしょうか。 それは「一定期間、学生が企業で研修者として職業体験をし、自己のキャリア形成に役立てること」です。明確な定義はないそうですが、これで間違ってはいません。

インターンは文科省が今から20年ほど前に導入を試み、それが徐々に浸透してきました。現在では就活と切っても切り離せません。しかし、当初想定されていた「職業体験」の要素がそのまま残っているかといえば、疑問が湧きます。

就活開始の1~2カ月前にもなればインターンはピークを迎え、就活生の多くが色めき立ちます。一方で対岸の火事とでも言わんばかりに、ぐうたらな大学生活を継続する鉄の精神力を持っている人もいます。
そんななかで自分はどう動くのか。
現在のインターンの構造を理解し、そのうえで行動指針を立てましょう(合コンに参加するよりも実のあるものにするために……!)。

5種類のインターン

就活には大きく分けて5種類が存在します。

(1)就労体験型インターン
(2)宣伝広報型インターン
(3)プレ選考型インターン
(4)アルバイト型インターン
(5)労働搾取型インターン

就労体験型インターン

本来的な意味でのインターンに近い形です。

疑似的にその企業の一員となり、入社してから自分が担う業務を生で体験します。営業同行などが例として挙げられるでしょう。1週間~1カ月間程度の期間を要することが多く、社会経験の乏しい学生にはかなりの刺激になり得ます。

内容が濃いために参加人数は必然的に限られ、普遍的な企業人としてのイメージをつかめるはずです。

企業からすれば労力がかかりますし、営業同行では他社も巻き込むためリスクもあります。それでも開催する姿勢は注目すべきであり、離職防止策の一つではあるでしょうが、「入社後にギャップで苦しまないでほしい」という誠意があると考えられるかもしれません。

企業の方と食事やお酒の席を共にして、肩肘を張らずに話を聞く機会も多いでしょう。感謝して、がっつりおごってもらってください。

宣伝広報型インターン

超短期間で終了するインターンです。 「1dayインターン」と呼ばれ、半日ほどで終了するものもあります。時間が長めの「企業説明会」だと思って構いません(企業説明会:企業が選考開始前に1時間ほどで事業内容や待遇を説明する会)。

つまりは企業説明会を膨らませたような内容であり、本来の意味でのインターンとはかなり異なります。手軽に参加できる反面、得られるものは時間的制約があるため上限があるでしょう。 ワークショップが設定されていることも多いですが、現場感はなく、あくまで会社や仕事の概要を就活生に印象付けることに重点が置かれた、「選考が解禁される前にできる宣伝広報」としての意味合いが強いものです。

就活的なものに触れて自己満足に浸る就活生を量産します。

プレ選考型インターン

実際の内定に大きく影響を及ぼすインターンです。

経団連が定める指針に従えば企業は就活解禁前には表立って選考ができませんが、インターンの名の下では就活生と関わることが許されます。つまり内々にめぼしい就活生に唾をつけておくことができ、実際にインターンに参加した一部の就活生だけが案内される選考ルートを設けている企業も存在します。(経団連に所属していない、時期は関係ない…という企業もあります)

つまり、一般の門戸をたたく就活生と比べると内定が容易になります。「みんなの就職活動掲示板」などを利用すれば実施している企業にあたりをつけることはできるでしょう。ただ、実際にはこれに参加すること自体に選考があります。その意味では就活のシミュレーションとしての価値もありますが、難易度は高いです。

就活を舐めていた高学歴の人間が鼻をへし折られる最初の障壁として知られています。

アルバイト型インターン

実際に企業の一員となり、業務を担います。

数カ月から1年以上といった長期間にわたるものが多く、取り組む内容は企業によります。社員と同様の業務を担うこともあり、例えば1人の営業マンとなることもあります。

あくまでインターンであるため一般的な報酬に劣る場合がありますが、給料が支払われます。 そのインターン生をそのまま採用するケースが見られますが、本人の意向次第ですので、こっそり他社を受けても何にも問題ありません。

労働搾取型インターン

これをインターンと呼ぶこともはばかられますが、要するに

「無給もしくは極端な低賃金しか支払わないがインターンという名目で労働者と同様の業務を就活生にさせること」

です。

相互にメリットのある関係であれば必ずしも賃金が発生しなくてもよいでしょうが、一部の企業には就活を利用して一時的な労働力を低コストで集めようとする心無い人たちがいます。

過去に「名ばかりインターン」とメディアで糾弾された企業もあります。「利用されているだけかも」と感じたら、大学の就職課などに相談しましょう。基本的に労働者と業務内容が同じであれば、それは雇用関係と認められ、対価を支払わないことは許されません。就活生を低コストの労働力と見ている時点で経営的にも確実に潤っていませんので注意しましょう。

以上、おおまかなインターンの種類を列挙しました。 参考にして自分の興味がある企業のインターンがどのようなものかを予想しましょう!

※画像は本文とは関係ありません


>武野光
>平成2年生まれ。「TOEIC未受験」「サークル未所属」「友達の数が片手未満」といった状況から就職活動に挑み、その体験から得た教訓をつづったブログ『無能の就活。』が大きな反響に。現在はサラリーマンと兼業で作家活動を行う。著書に『凡人内定戦略』『凡人面接戦略』(中経出版)、『就活あるある ~内定する人しない人~』(主婦と生活社)など。マイナビ2016でも、マンガ『キミ! さいよー』(石原まこちん/小学館)内で、一言コラム平成ベビーの就活用語辞典掲載