東京理科大学は5月24日、マレーシア元首相 マハティール・ビン・モハマド氏をグローバル・アドバイザーとして迎える調印式典を開催した。
マハティール氏は「東方政策(Look East政策)」を提唱し、日本型の工学系教育を行う大学の設立を構想してきた。一方東京理科大学は、日本の少子化に伴う大学市場の縮小化や、GDPにおける日本経済の比重が低迷する中で、グローバル化を推進し、アジア進出を検討しているという。この度、同大学にマハティール氏をアドバイザーとして招くことにより、「日本の視点ではなく、アジアの視点に応える理科大アジア校というアプローチ」を進めていく予定だ。
今回の就任については「夢の一つが叶った」と発言。国民にずっと「日本の発展を見習ってほしい」と言ってきたと語った。
マハティール氏「日本の大学をぜひマレーシアに招きたいと思っていました。すでにイギリス、オールトラリア、アメリカの大学は誘致していますが、日本はまだでした。現在、マレーシアから日本に留学して学んでいる人はたくさんおり、一部は日本での就職経験もあります。しかし、コストなどを考えると人数に限度があります。日本の大学に進出してもらえれば、留学できない学生も現地で通えるようになるのです」
現地では日本語を使って授業を展開し、日本の茶道における「お点前」によって規律を学ぶ、日本式庭園を学内に造るなど、大学自体を「リトル・ジャパン」にしたいという構想を持つ。
日本からも50名~100名の教員がマレーシアへ
一方、同大学 理事長 中根滋氏は「理科大のビジョンの一つとして、アジアへの貢献がある」と語る。来年の3月までに計画を練り、1~2年かけて現地進出の基盤を作り上げていく予定だ。日本からも50~100名の教員が必要になるため、どういった人材が必要なのかを見極めることも重要になってくるという。
なぜ今回マレーシアか、ということについては「戦後の日本がゼロからスタートしたときに成長を支えてくれた、深い関係がある」「国が目指しているポイントと、こちらが提供できることが合っている」と理由を挙げ、「何より日本が必要と言ってくれていることに、応えないわけにはいかない」と意気込みを見せた。
また、日本とマレーシアをめぐるアジア情勢については、マハティール氏も難しい面があることは認めた上で、マレーシアにある「知らない人を愛せない」という言葉を披露。「相手を知ることができれば、戦争をしたくなくなる。だから、マレーシアでは10万人の留学生を受け入れ、知り合いを増やし、複数の民族が一緒に生活しています。これはグローバル化の時代にふさわしいことだと思います」と締めくくる。
当日はマレーシアからの留学生も招かれ、積極的に質問。大きな注目を集める東京理科大学のアジア進出構想に、日本とアジアの新たな関係性の広がりが待っているだろう。