JR上野駅不忍口から信号で渡ったすぐそばに、4月26日、商業施設「上野の森さくらテラス」が誕生した。「上野松竹デパート」として半世紀以上親しまれてきた「上野大東ビル」があった地に登場した当施設は、全面ガラス張りというモダンな建物へと変貌を遂げた。地下1階~地上3階に19の飲食店を構える上野の新しい食の拠点、その味わいどころを紹介しよう。
光を囲むモダンと自然が調和した空間
施設の中央部分は3階まで吹き抜けになっており、天井からガラス越しに明るい光が差し込む。壁面にはコンクリートを、床には木材を使用。エレベーターの床も木材で仕上げられており、そのエレベーターで屋上に出ると上野恩賜公園が広がるという、モダンと自然が調和した空間作りがされている。
19店は和洋中それぞれ。また、上野恩賜公園内ということもあり、テイクアウト専門店やちょっとした休憩にピッタリのカフェも展開している。
全国の牡蠣を牡蠣の黒ビールと
カジュアルに全国の牡蠣を楽しみたい人は、3階にあるオイスターバー「オイスターテーブル」へ。北は北海道、南は長崎からその季節にオススメしたい牡蠣を仕入れており、「生牡蠣」(1ピース450円~/プレート・4ピース2,380円~)のほか、「ウフマヨ~牡蠣の佃煮とたまごのタパス~」(2ピース580円)や、「牡蠣のエスカルゴ風~ハーブバターと辛味マヨネーズ焼き2種~」(1,100円)など、おつまみからメインまで牡蠣を使ったメニューを取りそろえている。
また、岩手県大槌(おおつち)町産の真牡蠣を使用したオリジナルビール「大槌 牡蠣ノ星オイスタースタウト」(900円)や、牡蠣に合わせて開発されたオリジナル白ワイン「ジ・オイスターズ・シャルドネ」(グラス580円、デカンタ2,600円、ボトル3,100円)など、牡蠣をよりおいしく味わうためのドリンクも用意。同店はディナーのみならずランチも展開している。
ホットサルサをつまみつつアメリカンなひとときを
友人や家族などと上野恩賜公園遊びをするなら、合わせて2階のアメリカングリル&テクス・メクス(メキシコ風のアメリカ料理)「GRILL & DINER FAM's HOUSE」もいいかもしれない。"家族のような仲間(FAM)が集まるカッコイイけど気取らない店"がコンセプトの同店は、インテリアひとつをとってもワクワクさせてくれる。また、席からもキッチンの様子が見て取れるため、「自分の頼んだ料理はあれかな?」などと眺めてみるのも楽しそう。
仲間とシェアできるサルサ「ホットワカモレ」(680円)は、チーズをたっぷりのせたアボカドをトルティーヤ・チップスにディップして食べる一品。そのほか、ハンバーガーやピザ、グリル、ロコモコ、ファヒータなど、カジュアルに楽しめる料理がそろう。また、バゲットを使ったフレンチトーストや、クリームたっぷりのパンケーキなどというスイーツも充実している。
おともしたくなるコッペパンたち
「テイクアウトして公園でランチを」という人は、3階のコッペパン専門店「iacoupe(イアコッペ。eはアクサンテギュ)」がオススメ。西日暮里のブーランジェリー「ianak!(イアナック)」で焼かれた自家製酵母のこだわりコッペパンに、ショップ内で作られた具材を詰めて提供する。コッペパンの種類は5種類。「ビーフカツ」(490円)、「ポテサラ」(280円)、「あんバタ」(235円)の定番メニューに、2種の季節のメニューが登場する。この春は「イチゴカスタ」(370円)、「みかん」(270円)が並ぶ。
コッペパンそのものもプレーンと全粒粉、ブリオッシュの3種類があり、その具材にあったもっちりしっとりパンを使用。なお、同店には3本入りのBOXもあるので、ちょっとしたお土産にすることもできる。
また、上野恩賜公園といえばパンダである。パンダにちなんだスイーツとして、2階のお好み焼き・鉄板焼き「こて吉」では、バニラアイスを牛皮で包んだ「アイスパンダ大」(734円)を用意。また、地下1階の和食「かまくら」には、パンダの顔をした「濃厚クリームのパンダコッタ」(486円)もある。本物のパンダに会った後は、パンダスイーツにも癒やされてみてはいかがだろうか。
当施設の隣には、東宝系列の映画館が入っていた「上野東宝ビル」があったが、2005年に飲食施設「上野バンブーガーデン」に生まれ変わった。また、反対側の隣にはレストラン「聚楽台」が入るビルとして知られた「西郷会館」が、2012年に「UENO3153(さいごうさん)」としてリニューアルを遂げている。激動の昭和に彩りを添えてきた3施設が新しい姿でそろった今、上野を訪れる楽しみもまた格別なものといえるだろう。
※記事中の情報・価格は2014年4月取材時のもの