お昼に8054回目の放送を終えた『笑っていいとも!』。32年分の感謝を込めた本当に最後の超特大号がはじまった。

32年間、『笑っていいとも!』で司会を務めたタモリ

吉永小百合とのデート2回分をゲット

タモリがお昼に続いてこの日2回目の『ウキウキウォッチング』を歌いながら、歴代レギュラーたちが陣取る客席へ向けて歩き出す。その顔ぶれは、片岡鶴太郎から野々村真、清水ミチコ、野沢直子、田中康夫、山本晋也、サンコン、マッスルまで総勢77名がかけつけたというからスゴイ。タモリが歩いた先にあるもう1つのステージでは、現在のレギュラー陣が歌っている。「今日でサヨナラ いいトモロー だけど明日も いいトモロー」の替え歌がせつない。

「スペシャルゲスト第一弾との中継がつながっている」という。モニターに笑顔の吉永小百合が映し出された。吉永が「タモリさん、本当におつかれさまでした。『最終回は何としてもスタジオにかけつけて花束を渡したい』と思ってたんですけど、映画のロケで南房総に来てまして」と話しかけると、タモリは「どうもありがとうございます。映画でプロデューサーもされていてお忙しいところを…」というぎこちない返事が精いっぱい。

続けて吉永から「大変でしたね。8000回を超える…すごい数字で圧倒されますけども、(番組終了で)少しお休みになれるんですか?」と尋ねられたタモリは、「は…は、はい」と挙動不審に。中居正広に「ちゃんとしなさいよ」と突っ込まれる。さらに吉永から「映画で初めて操船するので、(船の好きな)タモリさんを思い出しながら…いつかぜひ乗せてください」とリクエストされたタモリはハニカミながらも「いいとも!」と即答。

喜んではしゃぐ吉永にますます照れたタモリは、「(吉永さんは)10代から大スターで、私は普通の高校生で、『テレフォンショッキングをはじめたら、いつかつながるだろう』と思っていた」という思いを明かした。タモリはこと吉永については、めちゃめちゃ素直で一途だ。最後に吉永から「ご旅行のお供に」とBottega Venetaの黒バッグをプレゼントされたタモリは照れながらも、「また私と食事に行ってくれるかな?」と誘い、吉永の「いいとも!」で第一幕は終了。何ともさわやかなスタートを切った。

伝説の『日本一の最低男』が復活!

CMが明けると明石家さんまが登場。この人に「ありがとう」や「お疲れさん」の空気はなく、あるのは「笑わせよう」という芸人根性だけ。過去のレギュラーたちに「なんちゅう客席やねん。ベテランばっかりでやりにくいわい」と毒づいたり、タモリに体を触られてもだえたり、のっけからギアをトップに入れてはしゃぎまくる。

続けて、「僕は19年前にディレクターとケンカして『いいとも!』を辞めた。ちっちゃいスタジオで障害物レースをやって、ウケようと網に引っかかって『さんまが取れた~』って。『天井が落ちるんちゃうんか』ってくらいウケたのに、『タモリンピックはマジメにやってくれ』と言われて、『オレがマジメにやったら個性死んじゃうでしょ』って」とマシンガントークが早くも止まらない。

CM明けには、おなじみの効果音とポーズが決まり、往年の名物コーナー『日本一の最低男』のミニ円卓が登場。テレビで初めて雑談を放送し、吉永小百合が歌う『奈良の春日野(鹿のフン)』や、さんまの鉄板キャラ・パーデンネンを流行らせた最終回にふさわしいコーナーだ。

ここでタモリが「最終回だからハッキリ言うけど、(さんまがオレのこと)ヅラって言い出したんだよ」と絡むと、さんまは「(タモリに)『髪を引っぱってみろ』って言われて、スポンと抜けたらどうしようかと。笑いも起きないのにしつこく言われて」と切り返すと、すかさず「最後だから引っぱってもいいよ」と頭を差し出すタモリ。さんまが「生放送スペシャルのフィナーレで、(髪も)フィナーレに」とオチをつけた。

その後もお約束のポーズ「ルン」を強要したり、「キレ出しなはれ!」とダメ出したり、タモリ自ら募集して決まったあだ名・チーママを使わなかったことに文句を言ったり、さんまの口は一瞬も閉じられない。

次第にタモリも応戦しはじめた結果、タモリ「あんたが悪い」、さんま「あんた、例えヘタ!」、タモリ「今、まちがえたね」、さんま「はよ、次の話行きなはれ」と子どものケンカ状態に。さんま得意の大竹しのぶモノマネが飛び出したあたりで、ついにタモリが「忙しい(やつだな)…、みなさんこの話芸についています? あんたと話すと足が吊る」があきらめの表情に。まさにあのころのコーナーそのもの。実は当時もこのくらいのクオリティで、それがお昼の生放送にちょうどいい濃度だったのだ。

石橋貴明の「今夜だけはノーサイド」

しかし、ここで異変が起きる。いきなり、「オイ! 長い~! めっちゃ押してる」とダウンタウンとウッチャンナンチャンが登場。浜田雅功がさんまの口をテープでふさいでしまう。さらに松本人志が「長いからナンチャンは(裏番組『ヒルナンデス』)汐留が気になるし…ウッチャンもそうだ!」とイジると、内村光良が「オレは『ヒルナンデス』じゃない! (『イッテQ』だ)」とキレる。さらに松本は「早くやらないと、われわれもホラ、(不仲の噂がある)とんねるずが来たらネットが荒れるから」と笑わせる。

そのわずか6分後に「なげえよ!」と石橋貴明が叫びながら、とんねるずが乱入。スタジオでダウンタウンと真っ向対峙する。さらに2分後には爆笑問題も乱入。これは完全にアドリブだが、出てきてすぐ「これはしょうがない」と必死に言い訳する田中裕二。石橋が「ネットで見たら『キーマンは石橋だ』って書いてあったから、太田に『一緒に上がろ』って言ったの」とネタバレする。そして、数十秒後にはナインティナインも乱入してしまった。

ステージ上には、タモリ、さんま、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、とんねるず、爆笑問題、ナインティナイン。ギャラや格を踏まえると絶対に実現不可能、まさに最初で最後、「誰とでも分け隔てなく絡める」タモリの番組ならではの歴史的な一夜になった。ただ、こうなるとステージ上は、もう収拾がつかない。悪乗りしてステージにおすぎとピーコやサンコンを乗せる。太田光が田中康夫を投げ飛ばす(ビートたけし伝説のシーンを再現)、柳沢慎吾に警視庁24時&高校野球のネタめちゃぶり振りをするなど無茶苦茶。