JR九州はこのほど、「平成26年度事業計画概要」を公表した。中期経営計画の3年目を迎えることから、同計画で目標として掲げた株式上場の実現に向け、さまざまな取組みを強力に推進していくとの基本方針を明らかにしている。

九州新幹線を基軸に、輸送ネットワークのさらなる充実を図るという

各事業において積極的な事業展開を推進することで、収益の拡大を図るとともに、より効率的な業務運営と徹底的なコスト削減に努め、「強固な経営基盤の確立をめざす」という。

経営基盤整備の具体策のひとつに、「輸送需要の創出および確保」を挙げた。九州新幹線を基軸とした輸送ネットワークのさらなる充実を図り、列車の増発や輸送力の増強、停車駅パターンの見直しなど、きめ細やかな輸送施策を展開することで利便性向上に努める。また、各線区の需要動向に応じた効率的な輸送体系の構築をめざすとした。

「営業活動の充実強化」も、経営基盤整備にとって重要な項目に。人気のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」の運行や販促活動を通して、引き続き九州ブランドの認知度向上と九州への誘客を図る。その他の観光列車(D&S列車)も活用し、九州新幹線の開業効果を新幹線沿線から九州全域へと拡大させるよう努めるという。

「九州ネット早特7」など、インターネット予約限定の割引きっぷも充実を図る考えだ。「九州新幹線2枚きっぷ」「インターネット列車予約サービス」を中心とした販売促進や、九州新幹線による通勤・通学需要の拡大に向けた取組みも行う。海外からの旅行者に向け、とくに韓国、台湾、中国を中心に、「JR九州レールパス」の販促にも努める。

鉄道事業者として欠かせない輸送の安全確保については、安全に関する社員の声を基盤とした「安全創造運動」の推進や、PRC(自動進路制御)装置の導入など、ソフト・ハード両面で整備を進める。技術開発も引き続き推進し、鉄道の安全性・快適性の向上を図るため、鉄道総合技術研究所やメーカーなどと連携しながら技術開発を行う。九州新幹線では技術の確実な蓄積と他社との連携により、さらなる技術力の向上を図るとしている。

同計画では、2014年度の輸送人員を3億2,100万人、輸送人員にそれぞれが乗車した距離を乗じた「輸送人キロ」を90億8,000万人キロと想定。この数字を踏まえ、「九州新幹線を中心としたダイヤを基本に、需要動向を見極めつつお客さまの視点に立った輸送サービスを提供」するとのこと。

鉄道施設の整備に関しては、「調査結果や経年などを勘案し、適切な投資を行う」と明記。鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定からの支援措置を活用し、国鉄から承継した老朽化の著しい鉄道事業用資産を中心に、大規模な更新や改修などを行う計画だという。