「大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]」

(C)2012男女逆転『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』製作委員会

「ひまわりと子犬の七日間」で堺雅人が見せたのが「父としての顔」であるならば、この「大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]WOWOWで4月28日放送」で見せているのは「男としての顔」だろう。しかし、これまたそう単純な役ではない。というのも、この「大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]」は"男女が逆転した江戸時代"を舞台にした少々特殊な設定の映画だからだ。

原作はよしながふみによる同名漫画作品で、堺雅人がのちに妻となる菅野美穂と交際するきっかけにもなった映画である。

この男女逆転大奥では、男女の役割がすべて逆転している。時は江戸時代。若い男性だけがかかる疫病「赤面疱瘡」が流行り、男性の数が激減した。社会を動かすのは女性となり、将軍として日本を治めるのは代々女性となった。そして、将軍に仕える「大奥」には、多数の男性が集められた――。

本作で堺雅人が演じるのは、そんな大奥にやってきた右衛門佐という男だ。貧しい公家の出身で、美しい容貌と隙のない立ち居振る舞い、明晰な頭脳を備えた野心家である。

彼が仕えるのは、五代将軍・徳川綱吉(菅野美穂)。才色兼備だが、家臣の夫であろうと構わず手を出す"男好き"な一面も持っていた。

将軍の仕事は子どもを産み、徳川の世を引き継いでいくこと。しかし、なかなか子どもが授からない。一見傲慢にも見える絶対権力者の綱吉だが、将軍としての務めが重圧となってのしかかってくる。

堺雅人演じる右衛門佐は、大奥のトップである総取締として、そんな綱吉を長きに渡りサポートする。心に秘めた恋心を隠して……。

ただでさえ難しい役なのに、さらに男女逆転という設定の時代劇だ。過去に演じた役の中で「あの役と似ているな」と思うものがあればそれを参考に役作りをすることもできようが、本作ではそうはいかなかったに違いない。おそらく、これまでのどの役とも違う演技が要求されたのではないかと思う。

しかし、堺雅人は見事に演じきってみせた。決して表には出せない右衛門佐の本心を、目で、口元で、動きの角度ひとつで、観客に伝えてみせたのだ。一流の役者は、言葉ではなく動きだけで表現する。堺雅人もまた、それができる超一流の俳優なのだ。

どんな難しい役でも自分のものにしてしまう堺雅人。そんな彼が天才医師というこれまた難度の高い役に挑戦する。4月27日の22時よりWOWOWで放送されるドラマWスペシャル「パンドラ~永遠の命~」だ。

ドラマWスペシャル「パンドラ」

革命的な発明により"パンドラの箱"を開いた人々の運命を描くオリジナルドラマシリーズの第4弾で、これまでに「がんを滅ぼす特効薬」や「飢餓を救う食物」、「自殺を防止する薬」などのテーマを扱ってきた(27日(日)には、「がんを滅ぼす特効薬」を扱った同シリーズの第1弾が全話無料放送)。

今回のテーマは「クローン技術」。優れた医学者にして天才医師である鈴木元(堺雅人)は、クローン技術の革新的な発見をするも、倫理上の問題から大学の研究室を追われてしまう。そして7年後、再び物語は動き始める――。

詳しくはこちらをご覧頂きたいが、クローン技術という未知の医学と、謎を抱えた天才医師。これまでの堺雅人とはまた違った新たな一面が見えること間違いなしの注目作だ。