今年は4年に1度のFIFAワールドカップイヤー。日本時間6月13日からブラジルで32カ国の精鋭たちが熱戦を繰り広げるが、開催に先がけて昨年9月からFIFAワールドカップトロフィーが日本を含む世界各国を駆け巡っているのをご存じだろうか。ツアーの水先案内人は、あの世界最大の飲料メーカーであるコカ・コーラだ。

日本コカ・コーラのマーケティング本部・スパークリング&スポーツカテゴリー、シェリー デ ヴィリエ副社長

コカ・コーラのおいしさの秘密と歴史とは

コカ・コーラといえば炭酸飲料・コーラを初めて世に出した会社だ。1886年5月、アメリカ・ジョージア州アトランタの薬剤師が発明したカラメル色のシロップを炭酸水で割って提供したのが、後のロングセラー製品の始まりとなる。当時は今のような缶や瓶スタイルではなく、バーのような施設でグラスに注いで提供していたという。

その「コカ・コーラ」は、今では1日に約9億杯もの関連製品が販売されるまでの一大ブランドとなった。なぜ、それほどまで世界の人々に愛されるようになったのか。日本コカ・コーラのマーケティング本部・スパークリング&スポーツカテゴリー、シェリー デ ヴィリエ副社長に話を聞いてみた。

「それには複数の理由があります。まず、1886年の発売当初からコカ・コーラのレシピを変えなかったことです。2つ目は、おいしさへのこだわりとして保存料や合成香料を使っていないという点です。そして3つ目として、様々な選択肢を提供しているということです。コカ・コーラのほかに現在日本で販売している『コカ・コーラ ゼロ』をはじめ、世界では『ダイエット コカ・コーラ』『コカ・コーラ ライト』などを販売しています。サイズも大小様々なものを提供しています」。

消費者が「おいしい」と感じる伝統の味とその製法を変えることなく、徹底してきた。その上で1984年にコカ・コーラ ライト、1999年にダイエット コカ・コーラなど、時代のニーズに見合った新製品を市場に投入。個々の好みやそのときの気分に合った種類やサイズを選べることを強みとして成長してきたという。

「コカ・コーラ」(左)と「コカ・コーラ ゼロ」

コカ・コーラの販売力をFIFAが評価

今や世界200カ国以上でコカ・コーラを販売するコカ・コーラ社。その確固たるブランド力と販売力が評価される形で、2006年より「コカ・コーラ FIFA ワールドカップトロフィーツアー」を手がけるようになった。同ツアーは、世界90カ国のサッカーファンが実際のFIFAワールドカップトロフィーを見ることができるというファン参加型イベント。専用機で総距離にして約14万9,000kmをめぐる壮大なツアーは、日本には4月10~13日に東京、東北・陸前高田の2つの地域を訪問予定。各コミュニティの特色を生かしたイベントを行うとのこと。

「1978年にコカ・コーラとFIFAは正式なスポンサー契約を締結し、長期間にわたってパートナーシップを結んできています。既に2022年までの支援が決まっていますが、その特別な関係をいかし、『消費者に対してワクワク感を持ってほしい』というコカ・コーラの思いを実現すべく、FIFAにトロフィーツアーの開催に合意してもらいました。FIFAワールドカップトロフィーを各国に訪問させることで、FIFAの試合を実際に見ることができない国の人にも、ワクワク感を体験してもらえるのではないかと思っています」。

日本コカ・コーラの受付での1コマ。シェリー副社長がいる所では笑いが絶えない

FIFAの影響力が及んでいない国でも、コカ・コーラは販売されている。この世界各国での販売網を活用することで、FIFAはサッカーの魅力をより多くの人に知ってもらえ、コカ・コーラはより多くの人に「ワクワク感」を提供できるというわけだ。皆さんも今度コカ・コーラを飲む際は、その赤いパッケージが持つ偉大な力と歴史を実感しながら飲んでみてはいかがだろうか。