大和総研は24日、2013年10~12月期GDP一次速報を受け、経済見通しを改訂した。実質GDP予想は、2013年度が前年度比2.5%上昇から同2.3%上昇に下方修正し、2014年度は前回と同じ同1.0%上昇とした。また、今回新たに予測した2015年度は同1.5%上昇とした。

今後の日本経済については、「米国経済回復による輸出の持ち直し」「日銀の金融緩和を受けた円安・株高の進行」「消費税増税に伴う経済対策の効果」などから、拡大が続くとしている。

賃金については、「景気の循環的な回復を背景に、緩やかに上昇する」と予想。2014年度の春闘では2%前後の賃上げが達成されると想定し、その結果、2014年度の所定内給与は前年度比0.4%程度の増加に転じると予測している。

また、春闘で達成されたベースアップ率とGDP成長率のシナリオ別に、名目雇用者報酬の伸び率に関するシミュレーションを行ったところ、前年度比1.6%程度上昇すると推計。消費増税の影響については、景気回復と賃上げにより「実質所得に対する悪影響は相当程度緩和することができる」と見ている。

一人当たり賃金のシミュレーション(出典:大和総研Webサイト)

ただし、労働生産性との比較という観点から見ると、賃金の上昇余地は限定的なものと捉える必要があると指摘。さらに中長期的な視点で見た場合、持続的な雇用者所得の増加には、雇用者数が増えている医療・福祉分野などのサービス業でパートタイム労働者比率を引き下げるといった、様々な構造改革が必要だとしている。