今や人気アニメ作品としての地位を確立した感のある「TIGER & BUNNY」。その劇場版第2弾となる『劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising-』が、2月8日より全国公開される。

『劇場版 TIGER & BUNNY The Rising』のワンシーン

昨年公開された『劇場版TIGER & BUNNY The Beginning』はTVシリーズの1話~2話に加え、2.5話にあたる新作エピソードを盛り込んだ内容であったが、今回公開される『The Rising』は、TVシリーズの終了から数えると約2年5カ月ぶりとなる"完全新作"。「タイバニ」はこれまでにも舞台やゲーム、コミカライズなど多方面に展開されている人気作品であり、TVシリーズ最終回の"先"を描く内容に寄せられるファンからの期待は大きい。

ただ、現状、予告編やあらすじにて、TVシリーズ最終回では互いの絆を再確認したワイルドタイガー(鏑木・T・虎徹)とバーナビー・ブルックス Jr.がコンビを解消し、別々の道を行くかのような示唆がなされている。そのため、これまで同作品を追ってきた熱心なファンであればあるほど、大きな期待とわずかな不安が入り交じっているのが正直なところではないだろうか。

今回は、そんな『The Rising』を手がけた米たにヨシトモ監督に、その制作秘話や、『The Rising』への想いについてお話をうかがった。

監督 米たに ヨシトモ
アニメ監督・演出家。1963年生まれ。主な参加作は、監督・脚本・絵コンテ・演出を手がけた「勇者王ガオガイガー」(97)、監督・原案・絵コンテ・演出を務めた「ベターマン」(99)、監督・シリーズ構成・脚本・絵コンテ・演出を担当した「Dororonえん魔くん メ~ラめら」(11)など。

――最初に、『The Rising』の構想はいつ頃から練られていたのでしょうか?

TVシリーズが終わった後くらいから、映画を作りたいという企画はあったとうかがっています。

――2作品になるという構成も当時から決まっていたのでしょうか?

その当時から、2作品制作するという方向で動いていました。まだ内容はふわっとしていたのですが、脚本の西田征史さんがやりたいストーリーを出していただいて、ふたつのプロットをいただいたんです。ひとつは、TVシリーズ初期でやりきれなかった部分をしっかりと描く内容で、昨年公開した『劇場版 TIGER & BUNNY The Beginning』(以下、『The Beginning』)にあたるもの。もうひとつは、TVの後の話をフォローする、今回の『The Rising』にあたる内容でした。

劇場作品を1本を作るだけでも、多くの場合3年くらいはかかるんですね。通例からすると非常に短い時間で、先ほどお話ししたプロットを用いた劇場版を2本作り上げることに全力を注ぎました。

ただ、サイドストーリーとして、TVシリーズを虎徹・バーナビーそれぞれの視点で振り返る総集編BD/DVDに新作パートをつけていて、劇場制作と同時並行でその監督もやらせていただきました。……続きを読む

『The Rising』では、TVシリーズの最終回で再びヒーローに復帰した鏑木・T・虎徹(ワイルドタイガー)とバーナビー・ブルックス Jr.のその後が描かれる。所属会社の新社長・シュナイダーの意向で、バーナビーの相棒が変更されるところから物語は始まる