元雑誌編集者でコメンテーターの山田五郎氏が、26日に放送されたTBSラジオ系のラジオ番組『爆笑問題の日曜サンデー』(毎週日曜13:00~17:00)にゲスト出演した。ドラマ『明日、ママがいない』(日本テレビ系 毎週水曜22:00~23:00)の一連の騒動に触れ、テレビ番組の自粛を加速させる3つの理由を分析した。

ドラマ『明日、ママがいない』で主演を務める芦田愛菜

今月15日にスタートした芦田愛菜主演の同ドラマは、児童養護施設を舞台に「愛すること、愛されることは何か」を子ども目線で問いかける物語。「赤ちゃんポスト」を設置する慈恵病院の放送中止要請に加え、BPO(放送倫理・番組向上機構)への審議要求のほか、全国児童養護施設協議会と全国里親会からの改善要求、スポンサーCMの自粛など、一連の騒動をきっかけに「テレビ業界の今後のあり方」にも関心が集まっている。

山田氏は、太田からの「『明日、ママがいない』はどう思います?」の問いかけに対し、「家族は『問題になるようなものではない』って言ってるけどね」とした上で、「1989年がターニングポイントで、テレビ業界全体に自粛ムードが流れるようになった」と指摘。「(それ以前は)『なぜ言ってはいけない』ってことと、誰に対してどう配慮すべきかってことははっきりしていた」と現在との違いを挙げ、1989年の昭和天皇の崩御をきっかけに、「日本のマスメディア史上、初めての自粛ムードが流れるようになった」と振り返った。

さらに、この頃の自粛ムードを「誰に対して、何をどこまで自粛して良いのか、まったく基準が無かったわけ。だから、業界中、なんだか分からないけど自粛した方が良いんじゃないかって空気が流れるようになった」と説明。明確な基準やルールがないままの自粛はその後も定常化した上、1992年頃に訪れた「バブル崩壊」はテレビ業界にさらなる変化をもたらしたのだという。スポンサーが減り、広告が減少した結果、スポンサーを失いたくない番組制作側は、全面的にスポンサーの言うことに従わざるを得なくなってしまった。

この頃の山田氏は雑誌編集長時代で、「以前は、スポンサーと意見が食い違っても、(読者によりよい雑誌を提供するという)目的は同じだから、(スポンサーとも)戦おうよってことになってたけど、全面的にスポンサーの意見を通すようになってしまった。この状況は、お互いにとっても良くない」と当時を思い返した。爆笑問題の太田光はこの話に賛同し、「サッと手を引く広告主っていうのは、ドラマが始まるときに、スポンサーになるって言った責任があるのに、『内容を理解して、選んでスポンサーになってない』ってことの証明になっちゃうと思うんだよ」と主張した。

また、山田氏は"ネット炎上"もテレビ業界の自粛を加速させる原因の1つであると語る。「個別に文句言ってきてくれるなら、対応のしようもある」とし、「誰だか分からない、匿名の空気みたいなものには対処のしようがないから、そうなっちゃうっていうのはあると思うけどね」とコメント。一方、爆笑問題・田中裕二も「タレントも炎上があったりするけど、ちょっとしたミスなんかでも、一気に炎上してしまうから」とひとごとではない様子だった。