女優の宮沢りえが、直木賞作家・角田光代原作の映画『紙の月』(2015年公開)で『オリヲン座からの招待状』以来7年ぶりに主演を務め、『桐島、部活やめるってよ』で知られる吉田大八監督がメガホンをとることが24日、明らかになった。

映画『紙の月』で7年ぶりの主演を務める宮沢りえ

平凡な主婦が起こした大金横領事件をテーマにした同作は、"人生の落とし穴"、快楽と転落を類似体験するサスペンス・エンタテインメント。

宮沢演じる平凡な主婦・梅澤梨花は、夫と2人暮らしで、仕事では銀行の契約社員として外回りをしている。得意先には一人暮らしの高齢者が多く、気配りや丁寧な仕事ぶりが評価され、上司や顧客から信頼されるようになるが、家庭では、自分に興味を抱いてくれない夫との間に空虚感が漂いはじめる。そんなある日、年下の大学生・光太と出会い不倫関係に落ちていく。光太と過ごすうちに、ついに顧客のお金に手をつけてしまい、横領が次第にエスカレート。逃亡の果てに彼女が見た景色とは…。

7年ぶりの映画主演となる宮沢は「鮮度の高い静かな興奮が心と体を満たしております。吉田大八監督という心強いリーダーと共に作品創りに携われるのも大きな楽しみです」と期待感を表し、「まだ、出会ったことのない自分を発見できる映画になるよう頑張りたい」と意気込みを語った。

原作者の角田光代氏は「私の抱えていた小さなテーマが、作り手によっておもしろいように膨らんだり、細密化したりして、いつも、書いている時には気づかなかった多くのことを気づかされます」と、自分の小説がドラマや映画化される時のおもしろさを語った。そして、今回の映画化についても「主婦による横領事件を描いた『紙の月』が、映画になって、単なる一事件を超えた、どんな世界になるのか、とても楽しみにしています」と期待を示した。

吉田大八監督も「おそらくこの話はメロドラマなのだと思いますが、実はメロドラマが何なのかよくわかっていません」と打ち明け、「感情が世界の論理に牙を剥く瞬間をどう描くのか? ただひたすら、カトリック聖歌とシド・ヴィシャスのマイウェイを交互に聴きながら考えています」と今の気持ちを語った。

本作は2015年の公開に向け、27日にクランクイン。3月中旬のクランクアップを予定している。