「江戸越し」の地からその名がついたとされる品川区の戸越。その周辺住民がこよなく愛する戸越銀座商店街は全長約1.3キロメートル、都内で最も長い商店街として有名だが、最近ではぶらり散歩が楽しめる街として大変な人気。しかも、ここでは食べ歩きが散歩の流儀なのである。
毎日がお祭り・縁日のごとし
戸越銀座商店街は物価の安さが評判として鳴り響き、昔から遠く川崎、横浜などからも買い物客がやって来ていたと言われる。最近では各メディアでも取り上げられ、老若男女がぶらり買い歩きを楽しむ街として大変な賑(にぎ)わいを見せている。休日の午後ともなれば、通りはラッシュアワーのような人群れができるほどだ。
歩いて楽しい!!というのが一番の人気の理由だろう。多くの商店が通りに面した店先に販売台を設けて、あるいは気軽なオープンエアのテーブル席を設けて、通行人に気さくに声をかけてくる。街全体がさながらお祭りか縁日のごとし。ウキウキ感いっぱいなのだ。
店先から漂ううまそうな匂いに誘われて、ついつい下町らしい食べ物に手が出てしまう。焼き鳥、コロッケ、焼きそば、唐揚げ、鯛焼き、和菓子、おだんご、米パン……テイクアウトがこの商店街の流儀、お祭り気分で食べ歩きが最高に楽しい。そんな戸越銀座商店街を休日の1日、3時間をかけてのんびりと歩いてみよう。
コロッケだけでも21種がそろう
戸越銀座といえばコロッケが有名。商店街は人気にあぐらをかくことなく一層の街おこしに熱心で、ホームページも充実。また、「戸越銀次郎」通称「銀(ギン)ちゃん」なるご当地ゆるキャラを作って街の顔としているが、その猫のギンちゃんを表紙にした「戸越銀座コロッケガイド」が街で配布されている。
そこで紹介されているコロッケの数、なんと21店21種。精肉店や総菜店はもちろん、蕎麦店「蕎麦切り翁」の「蕎麦の実クリームコロッケ」や中華料理店「錦華楼」の「餃子コロッケ」、大衆酒場「漁」の「梅コロッケ」などなど変わり種も数多い。そんな中から今回は、「後藤蒲鉾店」の「おでんコロッケ」をピックアップ。店員さんによれば、ジャガイモ、大根、練り物などおでんの具をミンチしたものを具にして揚げたコロッケ。一口一口異なる味がしてうまい!!
ちなみに、こちらの後藤蒲鉾店は蒲鉾などの練り物を製造販売するほか、隣でおでん屋も営んでおり、昼から家族連れで賑わっていた。戸越銀座では焼き鳥屋も当たり前に昼から営業しており、母親と子供が仲良く路上のテーブル席で焼き鳥に舌鼓を打っていたりするのである。
米クロワッサンや銀ちゃんマフィンなどなど
食べ歩きにはおだんごもいい。「とごしぎんざのだんご屋あさな」は常に行列ができるほどの人気で、あん、みたらし、ずんだ、など定番おだんごが飛ぶように売れていく。こめパン処「米魂」の野沢菜や角煮の入った米おやき、米クロワッサンもなかなかに美味である。
ゆるキャラ「銀ちゃん」ものもある。「ギャラリーカメイ」の銀ちゃん煎餅、「パンのハリマヤ」の銀ちゃんマフィン。「とごしぎんざの牛乳屋」では、「とごしぎんざ」ブランドのお酒やワイン、ソースも売っている。
この他、鯛焼き、唐揚げ、中華総菜、中華饅頭、キムチ饅、鶏粥、焼きそばなどなどいろいろあるが、とてもここでは紹介しきれない。前記したように戸越銀座商店街のホームページが大変な充実ぶりで、商店会加盟の全店舗の情報が地図付きで掲載されているのでそちらを参照してほしい。また、商店街に足を運べば、大半の店舗で「食べ歩きマップ」「ランチマップ」「コロッケガイド」の3つのパンフがもらえるので、こちらを手に戸越銀座を歩いてみよう。
もし食べ疲れたなら、商店街の途中には無料で利用できるお休み処がある。また、自転車で訪れた人のためにも、無料で使える自転車空気入れも設置されている。とっておきの癒やしとして、商店街の「戸越銀座温泉」を活用するのもありだ。
食べてよし、憩ってよし、癒やされてよし。この週末は、あらゆるものが勢ぞろいした戸越銀座商店街へ、おなかを空かせて行ってみよう!
●information
戸越銀座商店街(商栄会、中央街、銀六会の3ゾーン)
アクセス:東急池上線「戸越銀座駅」、都営地下鉄浅草線「戸越駅」