寒い季節は身体が脂肪を蓄えやすいため、油断をしているとどんどん太ってしまう。とはいえ、食べるのを我慢したりきつい運動を継続的に続けたりというのは、なかなかハードルが高い。もっと気軽にできるダイエットとして、アメリカでは糖尿病対策としても認知されている「胆汁酸」が今注目されている。
胆汁酸は脂肪を燃やす
胆汁酸は食事とともに腸で分泌される消化液のこと。そして近年、ただ食物の消化を促す作用のみならず、「肝臓などの内臓の脂肪を減らす」「コレステロールを減らす」「血糖値を下げる」という作用があることが発見された。胆汁酸は血中内でホルモンのような働きを担い、脂肪燃焼の指示を出す。つまり、血中の胆汁酸量が増えれば、熱産生により基礎代謝をアップさせることができる。
そのサイクルを回すためには、古い胆汁酸を排泄して新しい胆汁酸を血中に増やすことが必要になる。このアプローチが「胆汁酸ダイエット」である。そこで今回、慶應義塾大学大学院の渡辺光博教授に、より効果的な胆汁酸排泄=「胆汁酸ダイエット」方法をうかがった。
食事中が狙い目
まず、「胆汁酸ダイエット」のポイントは食事中にあるという。食事をすると血中の胆汁酸比率は上がり、胆汁酸の働きで脂肪の熱産生が促される。特に、余分な脂肪を燃やす「褐色脂肪細胞」の活動が活発になるため、基礎代謝がアップする。この時に、古い胆汁酸を血中から排泄することが大切になる。
渡辺教授は古い胆汁酸を排泄する五大食物として、「杜仲茶」「大麦」「マイタケ」「海藻類」「こんにゃく」を挙げている。これらの食物は食物繊維を多く含んでいるとともに、その食物特有の成分が胆汁酸の排泄に有効に働きかけるという。
特に「杜仲茶」に含まれている成分「アスペルロシド」は、大麦などの食物繊維のように胆汁酸を吸着して排泄するのではなく、胆汁酸の再吸収を妨げる作用がある。また、この「アスペルロシド」には、内臓脂肪や体重を減らす効果があることも分かっている。適量として渡辺教授は、杜仲茶葉6gを1.5リットル程度の水に煮出して作った杜仲茶を、3度の食事中に合わせて飲むのがベストだという。
ただ、杜仲茶には独特な味わいがある。そのため、飲み慣れない内は少し薄めて飲むといいだろう。または「杜仲チャイ」として飲んでみるのもオススメだ。作り方は簡単。水150ミリリットルに煮出し用1パックを入れて10分間煮立てる。そこにミルク350ミリリットルを加えて煮立つ直前まで温め、最後にはちみつを垂らせば完成。若しくは、温めた杜仲茶をウイスキーで割る「ウイスキー杜仲茶割り」ということもできる。
便秘解消で代謝アップも!
もうひとつの方法が、おなかの上から腸をもんで刺激を与える「腸もみ」である。胆汁酸の排泄効果を上げる食物を摂取しても、便が腸内にたまってなかなか排泄されないようでは意味がない。腸をマッサージすることで腸の活動を促すのみならず、「腸もみ」で腸内の血行が促進される結果、代謝アップやダイエットへ有効に働きかけることができる。
「腸もみ」はまず、椅子に座って全身の力を抜く。一方の手の甲にもう一方の手の平を当てて指先を伸ばす。その手をへそから指3本分上の1点を開始点として、ゆっくり時計回りに10回ほど回す。このマッサージでは大腸に働きかけることができるので、即効性のある便秘解消方法として実践してみるといいだろう。
「胆汁酸ダイエット」は、男女問わず同様に効果が望める方法なので、「最近ちょっとおなかが出てきたかも……」という人は、まずは食事中のドリンクを杜仲茶に切り替えることから始めてみるのといいかもしれない。