経済協力開発機構(以下、OECD)は3日、2012年度の「PISA(生徒の学習到達度調査)」の結果を発表した。それによると、日本は数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシーの全3分野で前回から順位が上昇したことがわかった。

同調査は、15歳の学生を対象に、数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシーの全3分野について3年ごとに実施。5回目となる今回は、65カ国・地域から51万人以上が参加した。

日本は、2009年の前回調査と比べて、数学的リテラシーが9位から7位、読解力が前回8位から4位、科学的リテラシーが5位から4位に上昇。OECD加盟国の中だけで見ると、読解力と科学的リテラシーは1位、数学的リテラシーは韓国に次いで2位となった。

平均得点は、数学的リテラシーが536点(OECD平均494点)、読解力が538点(同496点)、科学的リテラシーが547点(同501点)だった。

他方、日本の生徒は、基本的な数学の問題や応用問題を解く自分の能力に対する自信がOECD平均よりも少ないことが判明。また、OECD平均と比べた場合、数学についての楽しみや関心、問題解決への意欲は低く、数学に対する不安が高いことも明らかになった。

日本の学校制度については、生徒の社会経済的背景と得点との関係性がOECD平均よりも弱いなど、教育機会の観点において平等性が確保されていると評価。ただし、2003年の初回調査以降、社会経済的水準の高い学校と低い学校間の得点差は拡大している。

さらに日本は、生徒の社会経済的文化的背景に差異のある学校間に対して、人的、教育的資源を平等に配分しているのに対し、ハード面や学習時間において、これらの学校間に差異があることもわかった。

授業の雰囲気については、日本は他の参加国・地域より良好であることが初回調査から確認されていたが、今回はさらに良くなっていた。

一方、世界の順位を見ると、中国・上海が初参加の前回調査に続いて、数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシーの全3分野で1位を獲得。上海は、数学的リテラシーの平均得点が613点とOECD平均より119点高く、これはほとんどのOECD加盟国の学校教育のほぼ3年分に相当するという。

分野別に2位以下の順位を見た場合、数学的リテラシーの2位はシンガポール、3位は香港、4位は台湾、5位は韓国。読解力の2位は香港、3位はシンガポール、4位は日本、5位は韓国。科学的リテラシーの2位は香港、3位はシンガポール、4位は日本、5位はフィンランドとなり、いずれの分野もアジア諸国が上位に入った。