東京商工リサーチは20日、曲げられるディスプレーを開発した篠田プラズマ(兵庫県・神戸市)が19日に事業を停止したと発表した。同日付けで全従業員30人を解雇し、取引先や金融機関への支払を停止。今後は代理人の若杉洋一弁護士ほか2名を交え、スポンサー企業を探し再建を目指すという。負債総額は約10億6,000万円。

篠田プラズマは、富士通でプラズマディスプレーの開発に従事し、「プラズマの生みの親」とも言われる篠田会長兼社長が創業。厚さ1ミリの特殊フィルムを使った薄型ディスプレーの研究、開発、製造を目的としたベンチャー型企業として知られる。大画面かつ折り曲げることができるディスプレーは日米中3カ国で特許を取得。また、関西国際空港や兵庫県立美術館、渋谷ヒカリエなどに広告用ディスプレー用途での納入実績を持つ。

同社は研究、開発の先行から、ベンチャーキャピタルや一般企業などから資本参加を受ける一方、公的機関の補助金を得るなどして事業資金を捻出していたが、創業以来赤字が続き累積赤字が拡大。生産効率改善と量産化に向け工場拡張計画を進めるも、政府系機関を介した金融機関からの融資が受けられなかったことで計画が頓挫するなど、資金繰りが悪化、今回の措置となったという。